最近は日本でも火鍋店を見かける機会が増えてきた。特に冬場は満席で、予約が取りにくい店もある。一方、本場の中国は日本とは比較にならないほどの大人気で店舗数もバリエーションも多く、中国人にとっては「ソウルフード」となっている。その理由や背景とは。(ゼロイチ・フード・ラボCEO 藤岡久士)
一過性のブームが多い業態の中
「火鍋業態」は人気が続く
競争が激しく、流行り廃りが早いのが外食市場である。近年特に、食多様化、SNSの普及、競争の激化等によりそのサイクルは早まっている。この傾向は、急激な経済発展と、SNSの普及が進む中国でも同様で、このことが多くの日系飲食店が苦戦している原因の一つにもなっている。
鍋といえば、日本でも冬場は定番の人気メニューであるが、中国での火鍋の人気はその比ではない。オールシーズンで絶大な人気を誇っている。多くの業態が一過性のブームに終止する中、なぜ「火鍋業態」が中国人に長く支持され続けているのだろうか。分析してみようと思う。
既にご存じの方も多いかと思うが、火鍋とは、好みの具材を中華風の出汁スープにくぐらせて食べる、日本のしゃぶしゃぶに似た食べ物である。
起源については諸説あるようだが、「内モンゴルの羊料理が進化したもの」、「重慶で当時捨てられていた牛や豚の内臓に香辛料をつけて煮込んだものが広がった」という説が有力なようで、一説には日本のしゃぶしゃぶも火鍋に由来しているのではないかとも言われている。
中国で火鍋の種類は実に多く、「北京火鍋」「四川火鍋」「重慶火鍋」などメジャーな鍋を筆頭に、30種類以上もの火鍋が存在している。