日本電気(NEC)が2011年度第3四半期の決算とともに、1万人規模の人員削減を含む、事業の構造改革と、業績予想の大幅な下方修正を発表した。

 改革費用や業績悪化に伴う繰延税金資産の取り崩しなどによって11年度の当期純損益予想は、150億円の黒字から1000億円の赤字に転落した。

 加えて、10年に発表した中期経営計画で、12年度までに売上高4兆円、営業利益率5%という目標を掲げていたが、「今の実力では不可能」(遠藤信博社長)と、これを撤回。まずは現状の3.1兆円の規模で、営業利益率5%を目指す方針に転換を図る。

 NECでは人員削減案が発表される少し前に、経費削減の一環として突如、社員に残業と出張の禁止令が出されていた。すぐに有名無実化するも、なかには不穏な空気を感じる社員もいた。そこに今回の1万人削減案が報道で流れてきたものだから、社内は一時騒然となったという。

 NECによれば、「労働組合との交渉はまだ」で、社員は「いまだに何の説明もない」という疑心暗鬼の状態だ。

 事業の切り離しを行ってきたとはいえ、売上高はピークの5.4兆円から4割以上も減っている。3.1兆円の規模でも営業利益率5%を達成できなければ、遠藤社長の言うように「実力がないと突きつけられたも同然」となってしまう。

 09年にも2万人規模の人員削減を伴う経営改革案を発表してきたし、業績予想の下方修正も繰り返している。現状で踏みとどまって反転攻勢に出ることが本当にできるのか、真価が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

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