より多くの人と面白がるための
「らしさ」と普遍性
林:いいものを出した時に老若男女すべてが喜ぶ状況というのは、すごくうらやましいと思います。例えば、花火や桜は、誰もがいいと思いますよね。僕らが不動産や住宅で「これはいいでしょう!」と提示しても、何千万人がいいということはないんです。
篠田:分野によりますよね。ほぼ日の商品の中でも、例えば大きな土鍋のようなものを、万人が買うかというと、そうではないですし。
吉里:それでも、一方では物件を選ぶ時でも、普遍的なものもあるんですよね。例えば、気持ちいい風が吹き抜けるなんていうことは、老若男女、犬や猫まで含めて気持ちいいはずなんです。
結局、最後は普遍性。その中で、「こだわりの空間を増殖させる」ということは、僕らにとってのゆるやかなテーマかなと思います。社会性を持ったことをやりながら、世の中を変えるような、そんなきっかけを作ることを求めているんです。だからこそ、普遍性がないことはあまりやりたくないですね。
奥野:「マスに働きかけていく」ということは「ほぼ日らしさ希釈する」こととイコールではない。逆に「ほぼ日らしさ」が薄まっていくと、広がっていかないんじゃないかと思っています。ほぼ日らしさをいかにキープしながら、より多くの人と面白がれるか、そのためにはどうしたらいいのか、常に頭の片隅にある感じです。
篠田:ビジョンとか、方向性という言葉では表しにくいけれど、そういうテーマは常に求めて動いていますね。