ワンオペ育児の一方で
昇進・昇格から遠のく女性たち

 一方で、家事育児の問題をすべて家庭内で解決するよう迫っているのが、日本社会の現状だ。そしてこれは企業の労働慣行についても同じことがいえるという。

「働き方改革が叫ばれる中、いまだ、長時間労働を前提とした男性優位の会社が存在していることも事実です。定時で帰宅するような社員を『やる気がない』と見なすような企業風土では、夫は子どもが生まれても、家事育児の時間を作ることができません」

 夫が仕事を優先すればするほど、家事育児の負担は妻にのしかかっていく。しかも、妻の方は、それでワンオペ育児となっても、その状況を会社に伝えないことがほとんどだという。

「現在、働きながら家事育児をこなす女性を対象に聞き取り調査を行っています。その中で、『育休を取ったり、早く帰るのは当然』と強く主張する女性はごくわずかでした。多くは、会社に対して『迷惑をかけている』という意識が強く、肩身が狭い思いをしているため、ワンオペ育児で疲弊していたとしても、自分の現状を会社に伝えないことのほうがほとんどなのです」

 さらに、子育てをきっかけに時短勤務を申請したり残業に対応できなくなった女性が、昇進・昇格から遠ざかる「マミートラック」に乗せられるような現状についても、藤田氏は問題視している。

 少子高齢化に伴い労働力の不足が懸念される中、政府も2014年に「女性活躍推進法」を制定するなどして、女性の労働力を確保しようと躍起になっている。しかし現実では、多くの女性がワンオペ育児に追われ、その上、マミートラックに乗せられているのだ。これでは「女性が輝く」どころの話ではないだろう。