「大きな拠点避難所には物資が山積みになっていて、持っていっても追い返されるだけだから、物資の届かない小さな避難所を案内してくださる」というので、案内してもらって6か所の避難所に物資を届けてきたんです。

 南三陸町のマイナーな避難所には物資が全然行き渡っていませんでした。それこそ、リーダーがペン1本持っていない、震災から3週間も経つのにお風呂どころか、身体を拭くものももらったことがない、というわけです。

 家族も友人も街も、すべてを失った人たちが、数週間経つのにろくに物資も届かず、さらなる苦境に立たされていた。これはなんとかしなければ! と思いました。

 でも、物資を持っていっても、あっというまになくなってしまいます。東京~大阪間に匹敵する400kmにもわたって壊滅しているわけですから、もう「個」の力では限界がありすぎる。これは全国の人の力を集める仕組みをつくるしかないと思ったんです。

<写真2 現地は東京・大阪間に匹敵する400kmにわたって壊滅>

【第1回】<br />GACKTからAmazonまで次々支援!<br />日本最大級の支援プロジェクトは<br />どうやって生まれたのか?

──それで物資支援の仕組みをつくったんですね。

西條 はい、僕の専門としている「構造構成主義」では、方法がないなら新しくつくってしまえばいいと考えます。この仕組み自体もとてもシンプルなんですよ。

 ホームページに、現地でヒアリングしてきた必要な物資とその数を掲載し、それをツイッターにリンクして拡散し、全国の人から直送してもらう。各地から送ったという報告だけは受けるようにして、必要な個数が送られたら、その物資に線を引いて消しておくという方法です。

 こうすれば必要以上に届くこともないですし、仕分ける必要もなければ、大きな避難所や倉庫で物資が滞ることもありません。必要としている人に必要な物資を必要な分量、直接送ることができるわけです。すると、その24時間以内に、そこに掲載した物資はすべて送られたんですね。

──直接送れるからこその、スピード感ですね。

西條 はい、現地で「さかなのみうら」の三浦さんがニーズを聞いて、配ってくれますから、困っている人に必要なものを確実に送ることができたんです。

<動画3 行政に頼らないダイレクトな支援>