「物」や「事」へのフォーカスはNG
結果が微妙な時は「何があったの?」が正解

 興味を持とうとするあまり、陥りやすい罠もあります。それは、興味の対象を「人」ではなく「物」や「事」にフォーカスしすぎてしまうことです。

 例えば、資料の出来栄えやサンプル商品、プレゼンでの話し方などを褒めて、その人自身の努力や魅力を伝えないのはとてももったいないことです。素晴らしい出来栄えであれば、「資料が素晴らしい」「商品が素晴らしい」と賞賛することに加えて、「それを生み出したあなたがすごい」と言った方が、本人は“自分ゴト”として受け止めることができます。

 もう一つ、より注意が必要なのは、クオリティがいまひとつだった場合のコミュニケーションの仕方です。この時に決して使ってはいけない質問があります。それは「なんで?」と「どうして?」です。

「なんでそんなことしたの?」
「どうしてこんなに品質が悪いの?」

 このような聞き方は「詰問」になってしまいがちです。答える側も、どうしても「これ以上責められると嫌だ」という心理状態になって、守りのモードに入りやすくなります。そうすると、お互いの距離が空いてしまってコミュニケーションが取りにくくなる…という悪循環に陥ってしまい、チームのマネジメントは極めて難しくなります。

「なんで」「どうして」というのは「自分側のあるべき論」を押し付ける質問の仕方であり、チーム全体を俯瞰したコメントにはなりにくいものです。だからこそ、ネガティブな話題で質問をする時には「何があったの?」という聞き方の方が効果的です。

「何」は客観的な事実だけを求めて、その人の主観について言及しないでもらいます。もちろん、その人をとがめるような姿勢や雰囲気もできる限り抑えて、「どうやって問題となる事実を解決するか」に集中するように心掛けましょう。こうすることで、何かしらのトラブルや障害に直面したメンバーも、報告や連絡がしやすい雰囲気を作ることができます。

 何かのトラブルや問題が発生したときに、冷静に「何があったの?」と聞くのは、常に意識していないとできないものです。人はどうしてもとっさに「なんで!?」と理由を問いただしたくなってしまう生き物だからです。

 そこをいったん冷静にコントロールして、事実を聞き出すように会話を進めていくのは、マネジメントにおいて大変重要な要素です。このマインドは、まさに私が以前の投稿でお伝えした「アンガーマネジメント」の思考そのものです。ご興味がある方は、こちらの記事も併せてご覧ください。