研究で証明された「睡眠効果を上げる食物」

 必須アミノ酸の「トリプトファン」は、鶏肉、ターキー、チーズ、魚、バナナ、牛乳、ナッツなどタンパク質の多い食品に含まれている。トリプトファンは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料であり、このセロトニンが、よい睡眠に必要なメラトニンを生成するので、トリプトファンはぜひたくさん摂取したい

 最近、「バイオハッカー」と呼ばれる健康マニアたちがスポーツ時に取り入れているのが、モンモランシー種の「タルトチェリー」だ。

 これはスーパーで普通に売られているチェリーではなく、主にアメリカで生産され、ドライフルーツまたはジュースとしてネットや健康食品の店で販売されているものだ。

 英国ノーザンブリア大学のグリン・ホートソン教授の膨大な数の研究から、このチェリーによる回復効果が証明されている。とりわけ激しい運動後の効果が大きく、このチェリーがメラトニンを増加させたという研究結果が得られており、「健康な男女の睡眠時間の増加と睡眠の質の向上に有益であり、不眠症に効果を発揮する可能性がある」。

「食事が遅い日」は寝る時間をずらす

 一日の最後の食事は就寝時刻の2サイクル(3時間)前までに、そして最後の軽食は就寝時刻の90分前までに終えるようにしよう(時間ではなくサイクルで眠るシンプルな睡眠法については本書を参照)。

 たとえば、いつもの起床時刻が午前6時半の人は、午後9時に食事を取ったときは、就寝時刻を午後11時から1サイクルずらして午前0時半にしよう。

 他の日も念頭に置きながら調整するのであれば、就寝時刻は「遅すぎる」ことには決してならないが、「遅すぎる食事」、つまり就寝時刻に近すぎる食事を習慣的に行うことは、体内時計に差し障るリスクがある。

 私たちの身体は「パターン」と「調和」が大好きだ。体内時計は食事の時間にも影響されるので、起床時刻を決めることに加えて朝食を取ることでもさらなる調和が得られる

 健康的な食事とは、安眠に役立つ食品を食べることだけを意味するのではない。毎日絶好調の気分でいるために、よい睡眠習慣と運動習慣に合わせて、よい食習慣を持つことが大切だ。

(本原稿は『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』より抜粋して掲載しています)