……正解は、ふたつ目のグループだ。

 編み物、花壇の種まき、美術館での芸術鑑賞、人間観察など、集中力を要さない仕事や軽作業の最中に、計画的に夢想を行うのが上手な人もいる。もしあなたの選んだ作業があなたにとってきついものだとしたら、夢想する余裕はない。作業が完了するまでずっと集中力を保つ必要があるだろう。

“窓の外を眺める”時間を計画するのも時として有効だが、夢想する内容や長さについてきちんと考えることが大事だ。たとえば、近々行うスピーチの準備をしているなら、タイマーを5分間にセットし、頭のなかで一所懸命スピーチの内容を練るだけでなく、講堂の様子や、終了時のスタンディング・オベーションの感覚を想像するといいだろう。

意識的に「立ち止まる技術」を身につけよう

 あなたが夢想している瞬間を思い出してほしい。すると、夢想には毎回明確な順序があることに気づくだろう。

 神経科学に関する論文を記しているレベッカ・マクミランによると、夢想は3つの繊細な段階で構成されているという。

 ひとつ目は、集中を解くと「決意」する段階(ペンを置いて編み物を始めるなど)。

 ふたつ目は、非集中モードに頭を切り替える直前、注意を「切り離す」段階(今から夢想を始めるぞと意識する段階)。

 3つ目は、実際に集中的な作業をやめて心を非集中モードに切り替え、本格的な夢想にふける段階。この段階まで来ると、あなたは夢想にふける許可を自分自身の心に与えている。オンライン・カレンダーのリマインダーや時計のアラームがいずれ現実に引き戻してくれるという安心感にひたっているので、自分の心がさまよっていることにふと気づいても焦ったりはしない。ブログ「ブレインピッキングス」を立ち上げたマリア・ポポーワは、この3つの段階をうまくやってのける能力を「立ち止まる技術」と呼んでいる。