“ブロックチェーン”を活用し
“デジタルマネー”に向かう中央銀行

 仮想通貨の登場は、ある意味で、お金や金融のあり方を考え直す機会にもなった。仮想通貨と、それを支えるテクノロジー=“ブロックチェーン”を明確に峻別して考えるべきだ。

 最近、ビットコインの発行と取引を支える“ブロックチェーン(分散型の元帳技術)”を活用し、金融取引にかかるコスト削減などを目指す企業などが増えている。ブロックチェーンの活用がフィンテック(IT技術と金融ビジネスの融合)への取り組みを促進しているといっても過言ではない。

 中央銀行も、その技術を応用して法定通貨のデジタル化=“デジタル通貨”の開発に取り組んでいる。ここでは、“デジタルマネー”を中央銀行が開発する法定通貨のデジタル版として扱う。

 すでに、大手商業銀行なども価値が安定した仮想通貨の開発に取り組んでいる。この状況が続くと、法定通貨と民間企業の信用力を裏付けとした仮想通貨などが混在する状況も考えられる。

 仮想通貨の出現によって、新興国などでは法定通貨の利用が減るかもしれない。そうなると、当該国の経済・金融システムの安定を目指す金融政策に支障が出ることも考えられる。ある意味では、仮想通貨が人気を集めたことで中央銀行が“デジタルマネー”の発行を目指すのは自然な流れかもしれない。

 すでに、現金の流通量が減少しているスウェーデンでは、中央銀行がスウェーデン・クローナのデジタル通貨(e-krona)の開発を進め、規制やシステム管理に向けた取り組みを進めてきた。今年中にも、デジタル通貨発行の可否が判断される予定だ。それが実現すると、2019年にはデジタル通貨の実証研究が進み、管理技術や組織体制の整備計画がまとめられる。

 また、中国のように、自国からの資金流出を防ぎたい国にとってはデジタル通貨の実現は欠かせないだろう。中国人民銀行はデジタル通貨である“法定数字貨幣”の研究を進めている。2017年、人民銀行傘下のデジタル貨幣研究所がブロックチェーン関連で世界第3位の特許件数を誇ったことを見ても、中国は金融システムの管理強化のためにデジタル通貨の開発を目指している。