リアルな大学情報満載の『大学図鑑!』はめでたく20周年を迎え、2019年版を3/22に刊行しました。同書発売を記念して、監修者のオバタカズユキさんに、独断と偏見による大学選びのポイントを伺っていきます。 まず初回は、親世代とイマドキ大学生予備軍の違いから。ぜひ参考にしていただいて、お子さんとの感覚ギャップを埋めてください!
大学受験生の子を持つ親御さんの多くは、80年代~90年代に大学生などの若者だったと思います。バブルの予兆期から余韻期にかけて、当時は「ギラギラした時代」でした。比して、お子さん世代を取り巻く今の状況は相当違います。大学選びや大学生活も大きく変化しました。
以下、5つの観点から、最近の大学生と大学受験生の特徴を確認していきます。親子の世代間ギャップを埋める参考にしてください。
(1)強くなった現役入学志向
まず、今の受験生の大学選びの傾向から見ていきます。親世代の昔と比べてはっきり異なるのは、大学入学の現役志向がぐっと強まったことです。逆にいうと、受験浪人を嫌う空気が濃くなりました。
大学入学者のうち浪人生はどのくらいいるのか。1985年は2.5人に1人が浪人生でした。それが2000年は5人に1人、2014年は7人に1人へと急減しています(『学校基本調査』の該当データが2014年までしかないが、2015年以降も浪人割合は減っているはず)。
親世代では「うちの高校は4年生だから(1浪が当たり前)」と生徒も先生も明るく公言するような進学校が、全国各地にありました。今、そんな高校は絶滅危惧種です。医学部などの超難関を狙う層は別ですが、一般的には「大学に入るのに浪人まですることはないよね」が前提となっています。
もしお子さんが「△△大は、正直、難しそう。もう1年受験勉強をしてもいい?」と言ってきたら、それは大変勇気のある「お願い」かもしれません。白い目で見られる1年間を覚悟しているわけですから。家計的に可能ならば、「挑戦してみなよ」と言ってあげたいものです。
(2)安全志向は高校の戦略かも
最近の大学受験生は志望校の高望みをしなくなったとよく指摘されます。死ぬ気で頑張れば、もうワンランク高い大学の入試に合格する力がありながら、安全合格圏内に留まる。
関東私大でいうと、早慶クラスに受かる力があってもMARCHに入れれば十分としていたり、MARCHクラスにもう少しで手が届くのに日東駒専クラスにすんなり収まっていく感じです。
なぜ受験生の安全志向が強まっているのか。ひとつには、高まった現役志向の結果であるように思います。そして、その背景には少子化に伴う高校間の競争もきっとあります。
高校が受験生集めに自校の進学実績について、「現役合格の強さ」を謳うケースが目立っています。東大京大医大あたりに大勢合格していれば、まだまだそれは売りになる。けれども、それ以外だと急に訴求力が落ちる。だったら、現役合格に強い自校を訴えたほうがPRになる、と考えているような気がしてなりません。
で、必然的に、多くの高校がワンランク上の大学よりも、現役で確実に受かる大学入試の受験を生徒たちに勧めるようになってきた……。
もちろん、そうだとしても、それが嘆かわしいことだと決めつけられません。また、大学の価値は、あらためて言うまでもなく、入学偏差値だけでは決まりません。
しかしながら、上位大ほどキャンパスに活気があって、大学生活を楽しんでいる学生が数多く見えるのも事実です。『大学図鑑!』は長年の多くのキャンパス取材で、そういう傾向の存在を実感しています。
それがどれだけの違いなのかは、人ぞれぞれ感じ方が違うでしょう。ですから是非、事前の大学キャンパス見学に複数行ってみてください。本書に書いてある通りかどうか、受験生本人の目で確かめてほしいのです。
(残り3つのポイントは次回ご紹介!)