森友側の言い分を官僚が“丸呑み”の謎、国有地売却前の「賃料」で財務省内の廊下を歩くと、青白い顔をした人たちの深いため息があちこちから聞こえてくる Photo by Masaki Nakamura

 行政への信頼を失墜させた財務省による決裁文書の改ざん問題。

 改ざん前の文書からは、大阪府豊中市の国有地取引の異常性がくっきりと浮かび上がってくるが、そうした異常さを通り越して、背任罪を視野に捜査当局が今、集中的に調べを進めている事象がある。2014年10月以降にあった国有地の貸し付けを巡るやり取りだ。

 森友学園側は同時期に、小学校の建設予定地として貸し付けを受けるにあたって、16年4月の開校に間に合わせるため、土地のボーリング調査を実施したいと近畿財務局と大阪航空局に申し出ている。

 当時は、小学校の設置認可申請すら正式に受理されていない段階だったが、両局はなぜかボーリング調査を承諾。調査の結果、森友側は地盤が軟弱だったと口頭で説明したが、建設費用は特に変動しないと近畿財務局に伝えていた。

 ところが、3ヵ月後の15年1月に賃料の概算額を近畿財務局が提示すると、森友側の態度は一変する。政治家の秘書による「口利き」を利用しながら金額を下げるよう執拗に働きかけ、さらに3月に入ると、変動しないと言っていた建設費用が、軟弱地盤のため想定していたよりも多額になると変節し始めたのだ。