福島大学で昨年4月から構想が生まれ、8月に正式に発足した「うつしくまふくしま未来支援センター」。福島大学の教授をはじめとした教員が復興支援を兼務していたが、今年3月から公募で採用した専任職員も着任し、本格的に活動がスタートした。福島の地元の国立大学として、復興の記録、情報提供、支援を担う。ゆくゆくは、実際に手足を動かして蓄積した復興に関する知見やノウハウを体系的に整理し、「復興学」を確立するという構想も持つ。そのセンター長に就任した山川充夫・教授/福島大学学長特別補佐に福島の現状を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男 林恭子)

町を出る人の前向きな理由が必要
他県での研修制度を整備すべし

――住民が福島県や原発に近い双葉郡から前向きに離れられる制度を作るべきだと指摘しているが、具体的にはどういうことか。

やまかわ・みつお/1947年生まれ。1975年東京大学大学院理学系研究科地理学専門課程博士課程中退。1990年福島大学経済学部教授(地域経済論担当)。1998年経済学部長。2004年大学理事・副学長。2011年学長特別補佐、うつくしまふくしま未来支援センター長。

 当たり前だが、住民はどこに住むかという選択ができる。除染が終わっても不安だから町を出るという人に対して、何らかの援助ができる仕組みが必要だ。

 しかし、今、町を出ると周りから「お前は町を捨てた」「お前は出ていった」と言われてしまう。そう言われてしまうと、もう二度と故郷へ戻ろうと思わなくなってしまう。だから「出たいけど出られない」ということもある。

 そこで、「研修」という名目を作って、町を出る人を支援する仕組みを作るべきだ。例えば、農家の人だったら北海道へ研修ということで行政から補助を受けながら住み、そこで福島にはない営農技術や営農方法を学ぶ。スキルアップの為に県外に出ている、ということであれば、「町を捨てた」と言われないだろうし、出る人にとっても見送る人にとっても前向きな気持ちになれる。

 研修という形で援助を受けていれば「ゆくゆくは地元に還元しよう」という気持ちも芽生える。そうなれば地元との心理的な繋がりは保てるし、コミュニティの崩壊も防げるのではないか。今のままでは、気心知れた隣人同士は離散してしまい、ふるさととの心のつながりも失われてしまう。