「見て理解」する癖がつく
音声化せず、文章内容をどのように把握していけばいいのでしょうか。
それは文章を「見て理解」しようとする癖をつけていくことです。
「見て理解」というと新しいやり方のように思う人もいるかもしれません。しかし、そんなことはまったくなく、多くの人はすでにできていることなのです。
レストランにあるメニュー表を「読ませて」と言う人はほとんどいないと思います。
メニュー表は「見せて」と言います。そしてメニュー表に書かれている内容は文字です。
つまり、メニュー表を見ているときにやっていることが、文字を「見て理解」している状態なのです。
たとえば「ペペロンチーノ」と書いてあったとしても、頭の中で音声化して「ペ」「ペ」「ロ」「ン」「チ」「ー」「ノ」と1文字ずつ黙読することはまずありません。
その言葉全体を見て、パスタのイメージが思い浮かぶはずです。つまり、これと同じことを文章でやっていけばいいのです。
なお、この「見て理解」する方法ですが、実際に文章でやってみてうまくいかないのは、一度に見る文字数が多すぎることが主な原因です。
ある程度トレーニングすれば一度に見る文字数を増やすこともできますが、まったくトレーニングをしていない人でも、大体7~11文字くらいの文字数であれば、「見て理解」することはできます。先程の例の「ペペロンチーノ」も7文字です。
この「見て理解」する読み方の感覚をつかむための教材としては、新聞がいいです。
新聞記事の1行の文字数は紙面にもよりますが、大体11~13文字位になっているので、1行単位で「見て理解」する意識を持ち、目線が縦書きの文章に対して横に動いていくような見方をしていくと、文字数を意識せずに「見て理解」する癖づけができるようになるでしょう。
私自身、速読を習い始めたときに最初にやった、日常生活でできるトレーニングがまさにこれで、当時は日本経済新聞を使って取り組んでいました。
雑誌やメールマガジンなどで、1行に表示されている文字数が15文字前後で改行されているものを使ってもいいでしょう。このくらいの文字数で改行されている文章は、発信している人が「見やすさ」を意識して書いていることが多いからです。
特にメールマガジンのようなオンラインで配信されている文章は、改行位置が固定されないので、「見て理解」しやすい表現になっています。こうした媒体も活用しながら、「見て理解」する習慣をつけてください。
Twitterのようなミニブログを新聞代わりに使って、取り組んでみるのも有効な手段の一つです。
たとえばTwitterですと、投稿できる文字数に140文字という制限があり、一記事を一度に見る範囲がかなり狭い範囲に限定されることから、パッと見て、ある程度の内容を把握しやすい表示になります。
実際に普段使っている人だと、ひょっとしたらすでにTwitterを「読む」とは言わず「見る」という感覚があるかもしれません。もしそうだとしたら、Twitter記事と同じように本の文章も「見て理解」していくようにしてください。
■参考文献
「速く読んで覚えられる最強の読書術」