全体から細部へフォーカスしていく
これを読書に置き換えると、1冊を3時間で1回読むよりも、1冊を1時間で3回見るほうが、記憶に残るページ数は増えるのです。
各ページを一文ずつ読んでいるときの「覚えている感覚」や「理解できている感覚」は、速く読むことによって薄く感じられるかもしれません。しかし、実際は速く読んだほうがより多く記憶でき、より深い理解が得られるのです。速く読むことによって、反復学習する時間をつくり出すことができるからです。
1冊を3回見る読み方を、森林調査でたとえるならば、1回目には森全体を把握します。
「北側には桃の木が、南側には梨の木が分布している」というように、個々の木がどうなっているかまでは把握しきれないものの、森全体がどのような木で構成されているのかが把握できる理解度です。
次に、2回目に読んでいくときは、それぞれの木がどのようになっているかを確認していきます。
「北側にある桃の木々が、それぞれどのくらい実をつけているのか?」を把握していくような感じです。
そして3回目に読んでいくときは、木についている実がどのようになっているかを確認していきます。「食べ頃の実がどのくらいあるのか?」を見ていくようにするのです。
実際の読み方に置き換えると、1回目に読むときは目次や見出しを見ながら、どこに何が書かれているかを確認していきます。
2回目に読むときは、それぞれの見出しに対する結論がどこに書かれているのかを確認していきます。このとき、太字で表記されている文章を基準に確認していくのもいいですし、起承転結や序破急、論文形式などの文章構造の型を参考に探していくのもいいでしょう。
3回目に読むときは、本文中でよく使われている言葉を確認していきます。
このように、意識を向ける先を全体から細部へとフォーカスしていくことによって、忘れることなく森全体の詳細まで把握することができるようになるのです。
読むスピードを速くすることによって、反復学習するための時間を確保することが、結果的には記憶や深い理解につながるのです。
■参考文献
「速く読んで覚えられる最強の読書術」