正解は、下記のとおりです。

 1個だけ、善の文字があります。ポイントは探し方です。ほとんどの人は、左上から右上、左下と、読んでいったのではないでしょうか。間違い探しをするときは、なぞり読むやり方ではなく、視野を広げる。探すときの意識の持ち方が「幅広く全体を見てから探す」になっていたかが大事なのです。

 私がよくやっていたトレーニングは、会社で扱う資料の誤字脱字チェックです。全体を見てから、なぞり読んでいきました。全体をぱっとみる。わずか2、3秒の世界ですが、その時間を投資することで、幅広く見るトレーニングになります。

「1度にどれだけの文字数を認識できるのか」「見て理解に切り替えることができるのか」、この2つのポイントをおさえていれば、基本的に、速読は誰でもできるのです。

頭の回転を上げるなら速読がいい

【シンガポールセミナーレポート】速読のスキルで、「3つの力」を伸ばしていく終了時間が終わっても、熱心に話を聞く姿勢に意識の高さを感じた

 最後になりますが、脳には、「可塑性」と「汎化」という特徴があります。

 高速道路から一般道におりたときに、遅く感じたことはありませんか。速いスピードに脳が慣れている状態だと、そこからスピードが遅いところにいくと、より遅く感じられる。まさに、脳が速いスピードに適応している状態で、これが「可塑性」です。

 仮に普段、1分間に500文字くらいを一般的なスピードでなぞり読んでいる人が、読むスピードを上げていくと、文字を見るスピードに合わせるように、「考える力」「理解する力」「覚える力」も引きずられて上がる特徴があります。これが「汎化」です。

 これらの特徴は読むスピードを上げることが必ず起点となる必要はなく、たとえば「聞く」スピードを上げたり、物事を判断したりするスピードを上げていくことでも同じ作用が働きます。次のパート(4/27配信)で岡田先生から仕事のスピードを上げることについてのお話がありますが、仕事のスピードを上げていくことでも、頭の回転が速い人になれる――結果、自己実現力を加速させることができるのです。

(書き手=編集部・武井康一郎)