ITプレーヤーたちの宇宙ビジネス参入。象徴的なのは、ITの巨人、グーグルの取り組みです。グーグルは地球観測、通信、宇宙資源など幅広い分野に投資していますが、ベースとなっている考え方は、「プラットフォーム」として宇宙を捉えていることです。

 グーグルは、スタンフォード大学の博士課程に在籍していたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの二人によって、1998年に設立されています。グーグルで宇宙といえば、グーグルアースを思い浮かべる人も多いかもしれません。

 グーグルアースはもともと、2004年に人工衛星や航空撮影の画像をデータベース化したソフトを販売している会社キーホールをグーグルが買収し、その技術を使って開発したものでした。

 グーグルの活動はめまぐるしく変化し、量子コンピューターの開発を発表したり、AIやロボット関連企業を次々に買収したりするなど、IT企業の最先端をひた走っていますが、その走る方向の先に、宇宙も存在しているのです。

 グーグルの宇宙ビジネスで大きな話題になったのは、2014年に500億円でシリコンバレーの小型衛星ベンチャー、スカイボックスを買収したことです。

 キーホールを買収したときのように、宇宙ビジネスにいよいよ本格的に参入と注目されましたが、このときの注目はそればかりではありませんでした。

 宇宙ベンチャーのイグジットとして、グーグルが500億円もの値段をつけたことが、驚きをもって伝えられました。これは宇宙ベンチャーの初めてのイグジットでした。

 ところが、グーグルは2017年、このテラ・ベラと社名を変えていたスカイボックスの事業を、競合相手であるプラネットに売却してしまいます。

 もともとスカイボックスは、小型衛星をつくっている会社でした。グーグルとしては、必要なものは宇宙でしか取れないデータなのであって、小型衛星というハードウェアまでは持つ必要がないと判断したようです。