資本主義の「重心」がアジアなどに

 金利は資本主義経済全体の価格情報であり、資本取引の基準となる指標である。日本では、日本銀行が設定する短期金利がかれこれ20年間もゼロ近傍に張り付いてきた。他の先進国でも、2007年のリーマン危機以後、日本の後を追いように超金融緩和政策がとられ、デンマークや欧州(ECB)、スイス、日本では「マイナス金利」が導入された。

 金融史上、かくも多くの国がマイナス金利、あるいはゼロ金利状態を、これだけ長く経験したことはない。

「資本主義の終焉」だとか、「成長の限界」といった声も聞かれるが、世界全体を見渡せば、社会のダイナミズムが衰えた一部の地域のみの話である。

金利の理論で考えると
リフレ派の主張では解決しない

 2013年4月から始まった黒田日銀の超金融緩和策では、従来から行われてきたゼロ金利政策に加えて、異次元の量的質的緩和が行われてきた。

 その際、政策目標として掲げられたのが2%のインフレ率の達成による「デフレからの脱却」だった。