アイボのAI技術は
次のロボットに応用

 そして、16年暮れまでにはある重要なことも決定していた。

 それは製品の発表日と発売日だ。「ワンワンワン」の語呂合わせで発表日を17年11月1日に、発売日を18年1月11日に決めた。つまり、商品開発にめどが立たない段階で、発売日を決めてしまったのだ。

 この結果、開発に使える残りの時間は1年足らずになってしまったが、松井は「AI・ロボティクス分野に参入するなら、スピード感を持って開発しないとすぐに時代遅れになる。多少のリスクはあってもデッドラインを設けて開発しなければ陳腐化してしまう」とその決断の理由を語る。

 米グーグルや米アマゾンのAIスピーカーに続き、エンターテインメントロボットやコミュニケーションロボットなど、家庭用ロボット参入の動きは世界で相次いでいる。もはやアイボは完全オリジナル製品ではなく、AIロボット競争のど真ん中にさらされている。

 先代アイボのコンセプトを引き継いだ新型アイボだが、AIロボティクス技術としては全くの別もの。センサーや駆動部品を新たに開発し、常時接続したクラウド上のAIがデータ分析して成長するという、新しい設計だ。

 そのために苦労も重ねたが、一方で、将来に生かせる知見を獲得した。ここで開発したクラウドAI、センシング、メカトロニクスの技術を組み合わせれば、次世代ロボットを開発する基礎となる。また「デッドラインを先に決めて、その期間内で開発する」というアイボで実践した手法は、新型ロボットをスピーディーに商品化するノウハウになった。

「今回のクラウドAIとセンサーの要素技術を組み合わせたら、まだまだ提案できるロボットはたくさんありますよ」と語る松井。アイボで培った知見をどう生かしていくのか。その挑戦から目が離せない。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)

Photo by R.M.

【開発メモ】aibo
 ソニーが開発したイヌ型ペットロボット。2006年に惜しまれながら生産を終了した「AIBO(アイボ)」が、今年1月11日、小文字のaiboブランドで12年ぶりに復活した。先代アイボのペットロボットのコンセプトを継承しつつ、最新のセンサー、カメラ、駆動部品を搭載。本体とクラウドの両方にAIを置いて、先代よりも賢く成長する。