◇絶対に「負けない」賭け方

 ギャンブルがオンラインに移行したことで、ベッティングエクスチェンジという新たな形式の賭けが生まれた。これはギャンブラーが証券を取引するように賭けを提示したり、賭けに応じたりできる方式だ。あるチームが勝った場合と負けた場合の両方に賭けることもできる。

 ベッティングエクスチェンジでは、絶対に損をせずに賭けられることもある。まずあるチームが勝利するほうに10ポンド賭ける。相手チームのスター選手が負傷したりして自分のチームが有利になると、自分のチームのオッズが下がる。その間に自分のチームの負けにも賭けておく。すると勝った場合の儲けがやや少なくなるが、負けた場合の損失をゼロにできる。

 こうした賭け方が登場したことで、まるで銀行が顧客へ投資ファンドを紹介するように、ギャンブルへの投資を仲介する企業も現れはじめている。
 
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◆ギャンブルの科学の新時代
◇ゲーム理論とポーカー

 ポーカーは一見すると、確率だけに頼った単純なゲームに見える。しかし実際はもっと複雑だ。たがいの手役と考えの読み合いになるからである。ブラフ(はったり)がポーカーにおいて有効なことは、「ゲーム理論」の提唱者である数学者ジョン・フォン・ノイマンらによって証明されている。

 ポーカープレイヤーであるクリス・ファーガソンは、ノイマンのゲーム理論をもとに、より実戦に近い条件を想定し、ポーカーの攻略法を研究した。コンピューターを使って大量のデータにアクセスし、いくら賭けるべきか、いつブラフを使うべきかを算出。正直なプレイとブラフを均等に混ぜ合わせ、相手に自分の考えを読ませづらくした。

 また熟練のプレイヤーの場合、いい手役のときは賭け金を大幅に引き上げ、相手に降りるよう促すことがあるが、ファーガソンはこの上げ幅が大きすぎると考えた。賭け金を少なくし、相手をゲームに留まらせたほうが、より多くの利益が得られるかもしれない。しかも自分が負けたときに失う額も少なくて済むだろう。

 ファーガソンはこうした理論を用い、ポーカーの世界大会で優勝している。

◇ポーカーボットの出現

 あるポーカーのウェブサイトで、ロボットプレイヤー(ボット)が荒稼ぎしていることが問題になった。ボットが出はじめた当初は、人間にはまったく歯が立たなかったのに、いつの間にボットは腕を上げたのだろうか。

 ポーカーボットの意思決定の大半は、「Aの場合はB」というルールに則っておこなわれる。新しいルールを追加していくこともできるが、この方法だと結局は作り手と同じレベルにしかならない。

 だがゲーム理論をポーカーボットに適用すると、最適戦略に近づく。このとき用いられるもののひとつが「後悔最小化」というテクニックだ。シミュレーションをおこない、プレイヤーが自分の選択をどれだけ後悔したかによって、戦略を改良していくのである。この手法がボットのレベルを引き上げた。

 とはいえポーカーの最適戦略はまだ解き明かされていない。数多くの要素が複雑に入り組んでおり、相手の行動を予測することが難しいからである。