症状が悪化したのは高残香性柔軟剤などが飛躍的に増えた5年ほど前からだ。通院などで外出したとき強い香りをかぐと、せき・呼吸困難・めまい・咽頭痛・頭痛・関節痛などになることが増え、回復までに3~4日かかるときもある。

 スーパーなどで強い香りの人とすれ違っただけで、突発的に思考力・記憶力がしばらく低下することも少なくない。

 外出するときは、四季を通して帽子・マスク・長袖の衣服を身につける。電車などで座るときは必ずアルミシートなどを座席に敷く。そうしないと座席に染みついたニオイがズボン・下着にまで移ってしまう。

 衣類にニオイが移ったと感じた日は、帰宅すると玄関で下着だけになり、衣類はポリ袋に密閉して洗濯場に置き、すぐに入浴・洗髪しなければならない。

 K・Aさんを苦しめるのは、柔軟剤に配合されたどのような成分なのだろうか。

 柔軟剤の1つ「フレアフレグランス フローラル&スウィート」(花王)を例にとると、成分は量の多い順に、1.水(工程剤)、2.エステル型ジアルキルアンモニウム塩(界面活性剤・柔軟成分・抗菌成分)、3.ポリオキシエチレンアルキルエーテル(略称AE、界面活性剤)、4.香料(香料)など9つ(カッコ内は機能。残り5成分は安定化剤・粘度調整剤など、すべて合成化学物質)。

 このうち、まず問題なのが香料だ。

 香料はほとんどすべてが天然の香りをまねた人工の合成香料で、世界に3000種類以上ある。柔軟剤などのメーカーはそのうち数種類、ときには10種類以上をブレンドし、さらに溶剤などを添加した混合物にして商品に配合する。

 香料はVOCの1つなのだ。

 しかしメーカーは単に「香料」と表示するだけで、どの物質を使ったかを明らかにしない。その点では、中身が不明な「ブラックボックス」である(注1)。

注1:欧州連合(EU)は化粧品規則で、アレルゲンであることが明白な26種類について物質名を表示するよう定め、配合量も規制している。また多国籍企業ユニリーバのアメリカ法人は昨年2月、自社のパーソナルケア製品(身体用洗浄剤)に配合されている香料成分を2018年末までに開示すると発表した。ヨーロッパの法人も同じ方針だが、日本法人は未定。