好きなことで食っていくのは、難しい
一方で、楽しくなく面倒な仕事がすべて自動化されていく、ということは、仕事というのはすべからく楽しくやりがいのあるものに変わっていく、ということを意味する。しかし、好きなこと、楽しいことを仕事にするというのは、実は簡単なようで難しい。
そもそも、自分が好きなこと、楽しいことは何なのか見出すことも難しいし、見つかったとしても、それが人間がやるからこそ付加価値を生み出すもの、すなわち仕事と呼べるものなのか、という問題がある。
そして、実際に「好きなこと」を仕事にできたとしても、恐らくトップレベルの人しかそれで食べていくことはできないだろう。
これは、スポーツや芸能を例に挙げればわかる。スポーツや芸能の世界にいる人たちは、自分の好きなこと、あるいは得意なことを仕事にすることができた稀有な人々である。
しかし、その中での競争は激しく、そのために必要な才能や努力、そして運は並大抵のものではない。高所得者ランキングの上位を飾るのはごく一握りの超トップレベル、なんとか生活できるレベルの中間層ですら、同世代ではトップレベルだったりするほどで、多くは何かしら兼業をしながら食べていくことを余儀なくされる。
好きなこと=仕事、ということが可能な人たちだけが働き、それ以外の人たちにとっては、果てしなき暇が広がる時代。どんなに明るく未来を描いたとしても、そのような世界が近い将来訪れることになるだろう。
その場合、どちら側の人間になるのか? 今はその岐路に立っていると言っても過言ではないだろう。そして、企業にとっては、その果てしなき暇をどう付加価値化(マネタイズ)できるか、ということが重要になってくる。