教員採用試験の直前対策!

本記事では、発売たちまち3刷が決まった、元NHKアナウンサーの超人気講師で「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏の新刊『落とされない小論文』から、内容の一部を特別掲載する。(構成:今野良介)

「合格答案」を書くための王道7ステップ

教員採用試験を直前に控え、小論文対策に取り組んでいる方に向けて、拙著『落とされない小論文』から、1つのエッセンスを抜き出してお伝えします。

直前からでも、確実に効果の出る書き方があります

小論文は、やみくもに書いても「合格答案」にはなりません。
次のような手順、思考プロセスで書いていくとよいです。

(1)問題を読み、答えるべきポイントを把握する
(2)答案の「柱」を立てる
(3)大まかな字数配分を考える
(4)それぞれの「柱」の内容を箇条書きしていく
(5)話の流れを整理する
(6)清書する
(7)誤字脱字等をチェックする

たとえば、次のような問題で考えてみましょう。

【教員採用試験の想定問題】
子どもたちの基礎学力の定着のためにどのように取り組んでいくか、あなたの校種・教科を踏まえて考えを述べなさい。

(1)問題を読み、答えるべきポイントを把握する
何よりも重要なのは、問題文を読んだ最初の段階で、「何を聞かれているのか?」「答えるべきポイントはどこか?」を押さえておくことです。

この問題は「子どもたちの基礎学力の定着のためにどのように取り組んでいくか」がテーマであり、かつ「校種・教科を踏まえ」という但し書きがあることに注意します。

この2点が明確にわかるように書くことが求められます。

(2)答案の「柱」を立てる
(1)を踏まえ、「話の流れをどうすればよいか」を考えます。
たとえば、次のように考えていきます。

●基礎学力を定着させることの意義、重要性について簡単にまとめる
(その際自分の「校種・教科」についても触れる)
●取り組む例1 生徒の理解度を把握し、つまずいている点のフォロー
●取り組む例2 進度の遅い生徒に対しての特別な対応
●全体のまとめ

このような順番で話を進めていくことに決めます。

(3)大まかな字数配分を考える
次に、「どのパートに、どれくらいの字数を当てていくべきか?」をイメージしておきます。

問題で聞かれていることは、「どのように取り組んでいくか」ですから、ここが話のメインにならなければなりません。そこで、全体の字数のバランスを、おおよそ次のような比率にすると決めます。

●基礎学力を定着させることの意義、重要性について簡単にまとめる→2割程度
(その際自分の「校種・教科」についても触れる)
●取り組む例1 生徒の理解度を把握し、つまずいている点のフォロー   
●取り組む例2 進度の遅い生徒に対しての特別な対応→2つ合わせて7割程度
●全体のまとめ→1割程度

(4)それぞれの「柱」の内容を箇条書きしていく
その次に、それぞれの「柱」にどんなことを書いていけばよいかを、次のように箇条書きしていきます。

●基礎学力を定着させることの意義、重要性について簡単にまとめる
(その際自分の「校種・教科」についても触れる)
・基礎学力は学びの入り口。どの生徒も確実に身につける必要がある
・私の校種、教科は中学校の数学。中学になると遅れがちな子どもが増えてくる。特に、数学は積み重ねが重要だ
・教員には、生徒の基礎学力の定着のために、授業や課外の時間も含めた工夫が求められる
・そこで、次のようなことに取り組む

●取り組む例1 生徒の理解度を把握し、つまずいている点のフォロー
・日常的に生徒の理解度の細かなチェックが必要
→たとえば教育実習の例……小テストによって生徒に伝わったと思っていたことが理解されていない、ある特定の生徒の学習の進度が遅いなど、問題の把握に繋がった
→教師になったらどうするか?……小テストを週の頭に行ない、生徒の理解度を定期的に把握する
・多くの生徒がつまずいている内容については、授業中に補足する。単元が終了するごとに、まとめや振り返りの時間を設ける
・方程式や関数など、その後の学習の基礎となる単元は、時間を割いて確実な定着を目指す

●取り組む例2 進度の遅い生徒に対しての特別な対応
・中学生は学力の差が開き始める時期。進度の遅い生徒に対しての特別な対応が必要
→たとえば、遅れが見られる生徒に対しては、空き時間や放課後の時間などを利用して指導する
・取り組みやすい平易な問題を与え、学習への意欲や自信を持たせる。
・ペース作りをして、最終的には自分で勉強することの習慣化に繋げる。
・日々の授業の中でも声掛けをこまめに行う。

●全体のまとめ
・基礎学力はその後の応用、発展へとつながる重要なステップ。
・全ての生徒に基礎学力が定着するよう力を尽くしていきたい。

このように、それぞれの「柱」に書くべきこと、知っていることをどんどん箇条書きしていきます。

下書きでいきなり文章の形にすると、時間がかかる上、話の順番を入れ替える必要が出てきたときに、やりにくくなります。

(5)話の流れを整理する
材料がそろったら全体の流れを確認し、不要なものを削除したり、順番を入れ替えたりして、話の流れを整理していきます。

(6)清書する
読みやすい字を心がけて清書します。薄い字や小さな字は読みにくくなるので、はっきり、大きな字で書くようにしましょう。

(7)誤字脱字等をチェックする
書き終わった文章の誤字脱字などをチェックします。

以上のステップを経て完成した答案は、下記の通りです。

【教員採用試験の想定問題】
子どもたちの基礎学力の定着のためにどのように取り組んでいくか、あなたの校種・教科を踏まえて考えを述べなさい。

【高評価の解答例】
 基礎学力は学びの入り口であり、どの生徒も確実に身につけていく必要がある。私は中学校の数学の教員を志望しているが、中学になると学習内容が急激に複雑化、高度化し、遅れがちな子供が増えてくる。特に数学は積み重ねが重要な教科であり、一度つまずくと、それ以降の内容がほとんど理解できなくなる恐れがある。教員には、生徒の基礎学力の定着のために、授業や課外の時間も含めた工夫が求められる。そこで、私は次のようなことに取り組んでいきたい。
 まず、生徒の理解度の把握である。定期テストはその良い機会であるが、日常的に細かなチェックをしておく必要がある。私は教育実習の時、授業開始前に小テストを行ない、生徒が授業内容を理解できているかチェックしていた。自分では生徒に伝わったと思っていたことが、実は理解されていなかったり、ある特定の生徒の学習の進度が遅いといったりした問題の把握に繋がった。そこで、小テストを週の頭に行ない、生徒の理解度を定期的に把握していく。その上で、多くの生徒がつまずいている内容については、授業中に補足するほか、単元が終了するごとに、まとめや振り返りの時間を設けていく。方程式や関数など、その後の学習の基礎となる単元には、時間を割いて確実な定着を目指したい。
 また、中学生は学力の差が開き始める時期であり、進度の遅い生徒に対しての特別な対応が必要となってくる。遅れが見られる生徒に対しては、どの地点でつまずいているのかを把握し、空き時間や放課後の時間などを利用して、その地点に戻って指導を行っていく。また、取り組みやすい平易な問題を与え、学習への意欲や自信を持たせていく。進み具合を定期的にチェックしながらペース作りをし、最終的には自分で勉強することの習慣化に繋げていく。日々の授業の中でも「ここまでは理解できたか?」といった声掛けをこまめに行い、遅れがちな生徒の理解を確認しながら進めていきたい。
 基礎学力はその後の応用、発展へとつながる重要なステップである。私はこのようなことに取り組み、全ての生徒に基礎学力が定着するよう力を尽くしていきたい。

採点者の評価ポイントとは?

この答案が高評価につながる理由は、下記の6点です。

1「校種・教科に踏まえて」といった問題文の指示を正確に理解して書いている
2 取り組む内容が具体的に書けている
3 解決策を多面的に提示している
4 答案の流れが整理され、頭に入りやすい
5 自信をもった言葉遣いで書けている
6 教員を目指すものとして、意欲的な言葉で締められている

「手書き」にかかる時間の目安

答案練習の初めの段階ではあまり時間を気にせず、まずはきっちりと答案を仕上げることが大事です。試験が近づいたら、時間配分を考えましょう。

実際に鉛筆で原稿用紙に書くという作業は、意外に時間がかかるものです。最近は、手書きで文字を書くことが少ないため、慣れておく必要があります。自分で時間を計って、どれくらいかかるのか確かめておきましょう。

ちなみに、手書きにかかる時間の目安は、下記が一般的です。

・800字→30~35分
・1200字→45~50分

言葉遣いを考えたり、消しゴムで消して書き直したりしていると、これくらいの時間はかかるものです。

これに、最終チェックの時間を5分積んでおき、残りの時間で、問題を読むところから下書きの作成までをやらなければなりません。

試験時間内に絶対書き終えなければならないのですから、下書きに配分していた時間をオーバーしたら、本番ではもう原稿用紙に清書し始めるしかありません。そうならないために、試験日が近くなったら、実際に時間を計って書く練習をしておきましょう。

『落とされない小論文』では、このほか、小論文試験に一発合格する必要最低限の情報を凝縮して伝えています。ぜひ、直前対策に使い倒してください。