ストライクゾーンから
少し外れたボールゾーンに宝あり

 自分のストライクゾーン(得意分野)にきた仕事をしていれば、それなりの結果は得られます。

 けれど、それ以上の結果も、それ以上の楽しさも得ることはできません。

「自分たちの技術はこの範囲にしかない」「自分たちの得意分野はこれだ」と決めつけていると、目の前にあるチャンスを逃してしまいます。

 なぜなら、チャンスは、「ストライクゾーンから少し外れたボールゾーン」にあるからです。

 ヒルトップでは、あえてストライクゾーン(業務範囲、作業範囲)を決めていません

 中小企業の多くは、「これはうちでやる仕事だけど、それはうちの仕事ではない」「これはできるけれど、これはできない」と勝手にストライクゾーンを決めています。しかも、そのストライクゾーンが針の穴ほど小さい。

 ストライクゾーンを決めてしまうと、「振ったら当たる仕事」「自分たちにできる仕事」しかやらなくなります。

 しかし、常にボールがストライクゾーンにくるとは限らないのですから、「打てる、打てない」「できる、できない」で仕事を選択してはダメです。

 ストライクゾーンから外れていても、「面白そう」なら、とりあえずバットを振ってみる。

 悪球に手を出すと空振りするかもしれない。
 しかし、場外ホームランになることもある。

 ヒルトップがロボット、医療、バイオ、宇宙といった先端産業で成果を挙げることができたのは、「直接的な利益につながらない仕事」「やったことのない仕事」でも、見逃さずにフルスイングした結果です。

 人間の機能は、単機能ではありません。

「この会社の、この仕事をするには、このスキルが必要」としても、それに特化しすぎて、それ以外の機能を封印するのはもったいない。

 人間には、何でもできる高いポテンシャルが備わっているのですから、それを発揮できる環境を整えるのが企業側の責任です。

 今回、年間2000人の見学者が訪れる、鉄工所なのに鉄工所らしくない「HILLTOP」の本社屋や工場、社内の雰囲気を初めて公開しました。ピンクの本社屋、オレンジのエレベータ、カフェテリア風の社員食堂など、ほんの少し覗いてみたい方は、ぜひ第1回連載記事をご覧いただければと思います。