「1行ごと」に会議をしながら、句読点の位置にまでこだわる

読んだ瞬間に、スッと理解される文章を書くには?【本田健×佐々木圭一】本田健(ほんだ・けん)
作家
経営コンサルタント、投資家を経て、育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」「ライフワーク」「ワクワクする生き方」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。著書は、100万部を突破した『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)など、著書は130冊以上、累計発行部数は700万部を突破している。2017年にはアメリカの出版社Simon & Schuster社と契約。初の英語での書下ろしになる著書はヨーロッパ、アジアなど世界25ヵ国以上の国で発売されることが決まっている。(Photo by 森藤ヒサシ)

本田『大富豪からの手紙』を執筆しているとき、僕は、何度も何度も推敲をしたので、担当編集者には、ものすごい苦労をかけました。『何回も書き直して、手間をかけて、すみません」って言ったら、何と言われたかというと、「大丈夫です、佐々木圭一さんのほうが大変でしたから」って(笑)。
僕が、「どういうふうに、大変なんですか?」と聞いたら、「佐々木圭一さんは、コピーライターだから、書き終わったあと、すべての行を修正しようとする」と言われたんです。それは本当ですか?

佐々木:あの、うんそれ……、完全に本当ですね(笑)。
少なくとも、同じ内容の文章を「3タイプ」書いて、どの文章がもっともふさわしいか、当てはめていきました。自分としては3タイプでは足りなくて、もっともっといろいろ書いた上で決めたかったのですが、そんなことをしていたら、100年くらいかかってしまいます(笑)。

本田:コピーライターの人って「、」をどこに打つか、1日かけて考えるっていうじゃないですか。気が遠くなります(笑)。僕も文章にはこだわるほうですけど、佐々木さんほどではありませんね(笑)。

佐々木:それこそ、1行ごとに会議をしていましたね。「この行はどうですか?」「これはこれでいいんじゃないですか」「ここに『、』が入ったほうがよくないですか?」って(笑)。
僕には、「世の中に出す前は自分のものでも、世の中に出してからは相手のものになる」という気持ちがあるんです。だから、相手が一読しただけで、スッと内容が頭に入ってくるようにするにはどうしたらいいか、時間をかけて考えました。そうしたら、1行ごとに会議をすることになってしまって……(笑)。