伝え方が変われば、世界は変わる
本田:僕、じつは、電通や博報堂といった「広告代理店」に就職してみたかったんです。もし神様から、「どんな職業でもいいから、就かせてあげる」と言われたら、迷うことなく、「コピーライター」を選ぶと思います。
佐々木:そうなんですか!本田さんにも、勤めてみたい会社があったんですね(笑)。
本田:佐々木さんには及びませんが、僕も独学でコピーを勉強していた時期があったので、『伝え方が9割』は、すごく勉強になりました。砂漠で道に迷って喉が乾いているときに、水を飲み干すような、そんな気持ち良さを感じたんです。
この本は、「読んだ1分後から役に立つような本」ですよね。次の日でも来年でもなくて、本を読んだ直後から役立つという……。そんな本は、なかなかないですよね。
佐々木:ありがとうございます。
僕はビジネス書が大好きでよく読むのですが、困ったことに、すぐに内容を忘れてしまうんです(笑)。良い内容がたくさん書いてあったはずなのに、自分の身になっていないというか、自分のものにできないというか……。
ですから、僕が自分で本を書くときは、「読んだ人がその場で使える実践的な構成にしよう」と思っていました。
本田:学校の教科書にこの本のコンセプトを取り入れて、小学生、中学生に教えてあげたら、世界がもっと良くなる気がします。
佐々木:あ、それ僕の夢なんです。
本田:それこそ、文部科学省と組んで、「『伝え方が9割』で『いじめ』をなくす」とか、そんなプロジェクトをやってほしいですね。
佐々木:すべての「いじめ」をなくすことはできなくても、伝え方を学んでいれば、「減らせる」と思うんです。それだけじゃなく、伝え方によって解決できることって、世の中にはたくさんあると思っています。
僕は、「性格と伝え方は、イコールなんじゃないか」と思っています。たとえば、上司から「残業をして、この仕事を終わらせろ」と言われると、部下は、「嫌だな、面倒だな」「仕事を押し付けてくる嫌な上司だな」と思います。
でも、上司に「この仕事は君にしかできない。残業をすることになるけど、もう少し手を貸してもらえないか」と頼まれたら、「この上司はいい上司だ」「自分のことを認めてくれているんだ。じゃあ、やろう」という気分になる。
どちらも内容は一緒で、「残業してほしい」と言っているのに、前者は「嫌な上司」と思われ、後者は、「信頼できる上司」と思われる。言い方によって、言った人の性格が決まるわけですね。
本田:なるほどー。
佐々木:伝え方が身に付いたら、いじめやトラブルは、減らせると思います。学校だけでなく、家族間の言い争いや、もっというと、国家間の争いだって減らせるのではないか、と。僕自身、そこにはかなり手応えを感じていますね。