「明日やろう」「新年度から始めよう」「締切が近づいたら手をつけよう」……私たちが、普段の生活や仕事の中でついやってしまうのが「先延ばし」だ。この悪癖は、私たちの成功を阻む大きな要因のひとつでもある。そんな人生の大敵であり、私たちの自己実現を阻む「先延ばし」について語った不朽の成功バイブル『DOING IT NOW』がついに日本で邦訳される。今回は、その邦訳版である『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』から、あなたの成長を加速させるノウハウを紹介していく。

「やる気のなさ」は伝染する

エドウィン・ブリス
アメリカの元経営コンサルタント。それ以前に新聞記者、編集者、上院議員秘書、ロビイストを経験。先延ばし癖と時間管理に関するセミナーを全米各地で開催して好評を博した。哲学、文学、歴史、心理学に造詣が深い。著書に『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』(ダイヤモンド社)などがある。現在、引退してカリフォルニア州で暮らす。

 おそらく私たちの環境の中で最も重要なのは、ふだんかかわっている人たちです。行動力のある人と頻繁にかかわると、あなたも行動力を身につけることができます。一方で、怠け癖のある人と頻繁にかかわると、あなたも怠け癖がついてしまいます。私たちは周囲の人の態度や感情、価値観を吸収してしまうのです。

 もちろん、人格が強固なら周囲の悪影響を受けずにすみます。とはいえ、完全にというわけにはいきません。やる気のない人が周囲にいると、どんなに情熱を燃やしている人でも、その姿勢を維持するのは困難です。情熱が人から人へとうつるように、やる気のなさも人から人へとうつるからです。

 誰と頻繁にかかわるかは、仕事だけでなく、人生全般にも大きな影響をおよぼします。同じ部署の一員だからというだけで親しく付き合うのは考え物です。たとえば、コーヒーブレイクやランチタイムに、仕事への情熱にあふれた人とそうでない人のどちらと一緒に過ごすか。なるべく前者を選ぶようにすれば、お互いにとって有益な関係を築くことができます。

 また、同僚はあなたの先延ばしを助長するおそれがあるので要注意です。一部の同僚は、嫉妬や羨望にかられ、あなたの足を引っ張ろうとするかもしれません。あなたがてきぱきと仕事をして成果をあげるのを見たくないからです。配偶者も、あなたが仕事に膨大な時間と労力を費やしているのを見て不快に思い、無意識的に妨害するかもしれません。そんな状況に気づいたら、事態を正確に把握し、本人と相談して問題の早期解決をはかる必要があります。

 要するに、私たちはふだん働いたり暮らしたりしている環境の影響を強く受けるのです。自分を取り巻く環境を改善すれば、成長のスピードを加速できることを知っておきましょう。