藤野  しかし、最近は藤沢さんの本なんかの影響もあるのかもしれませんが、インデックス運用が大人気で、いわゆるインデックス・ファンド・バブルみたいな状況になっていると思います。

藤沢  そうですね。多くの市場参加者が、インデックス・ファンドのように、企業のファンダメンタルズを無視した運用をしていると、逆に市場の効率性が落ちてくるので、藤野さんのようなファンドマネジャーが勝ちやすくなる。

藤野  そのとおりです。

日経平均の入れ替えを利用して500億円の利益!

藤沢  それにインデックス・ファンドが巨大になってくると、もっと直接的にインデックス・ファンドはやられるんですよ。インデックスの銘柄変更などがあると、その通りにインデックス・ファンドは、銘柄を買ったり、売ったりしないといけません。これではマーケットの中で手札を見せながらポーカーをやっているようなものです。

 業界では有名な話ですが、2000年4月に、日経新聞社は日経平均の30銘柄を入れ替える、という大きな変更を実施したんですけど、日経平均はインデックス・ファンドなど巨大な資金がトラックしていますから、それに伴う巨大な売買需要が生まれました。この時に、組み入れ銘柄は暴騰を続け、除外銘柄は暴落しました。ある証券会社は、実施日の1日だけで、この銘柄入れ替えを利用して500億円も儲けたという話です。

 こういう証券会社のトレーダーやヘッジファンドの儲けは、インデックス・ファンドの投資家の損失ですから、日経新聞社は様々な識者からものすごく非難されて、羹に懲りて膾を吹く、になってしまい、それ以来、毎年、インパクトの小さい銘柄だけをほんの数銘柄だけ入れ替えする、というだけになってしまいました(笑)。こうなると、今度は、日経平均というのは、古臭い昔の大企業ばかりのインデックスになってしまうんですよね。