だめなアクティブ投信のカラクリ

藤沢  単純に考えると、アクティブ運用されている株を全部足し合わせると、概ね市場そのもの、つまりインデックスと同じになるわけだから、「平均」するとアクティブ投信はコストが高い分だけインデックスに負けてしまう可能性が高いんです。

 それに藤野さんのいう通り、ほとんどのアクティブ・ファンドは、インデックスをもとにそこからちょっと乖離させるという発想で作られている。例えば、トヨタ自動車のTOPIXでのウエイトが5%で、トヨタ自動車の将来の見通しは市場が考えているより明るいと思えば、5%じゃなくて5.5%にしてみようか、とか。この0.5%をアクティブ・ウエイトといって、基本的にはアクティブ投信はTOPIXのようなベンチマークを絶対的な基準として運用されている。それが金融工学的には正しいことだとされているんですね。

 要するに、TOPIXに勝つかどうかが全てで、お金が増えるか減るかは関係ない。TOPIXが10%下落する中、自分のポートフォリオが9%しか下落しなかったら、勝ちなんです。アクティブのファンドマネジャーとしてはね。

藤野  株式市場に投資する投信だと、ファンドマネジャーはBarraという有名なリスクモデルをみんな使っていて、正確にいうと年金コンサルタントなんかに、この業界標準のリスクモデルを使えといわれているんですけど、このリスクモデルって、要するにベンチマークであるTOPIXなどからの相対的なリスクを見るためのものなんです。

藤沢  だから、アクティブのファンドマネジャーにとっては、TOPIXから離れることがリスクであって、お金をなくすことがリスクではない。結局、世の中の多くのアクティブ・ファンドは、TOPIXと似通ったポートフォリオになっていて「アクティブ・ファンド=ちゃんとTOPIXに連動しない出来の悪いインデックス・ファンド」なんですよ。