「藤沢数希の金融対談日記」の2人目のゲストは、独立系投資運用会社のレオス・キャピタルワークスで最高投資責任者(CIO)を務める藤野英人氏。直販ファンドの「ひふみ投信」ではTOPIXを50%以上うわ回る運用成績をあげ、3.11後の混乱も好調で乗り切った。第3回では、その成功の秘密に具体的に迫る。
日経平均はダーツに負ける
藤沢 それにしても、藤野さんが運用しているひふみ投信のパフォーマンスは絶好調ですね。2008年9月に設定されてから、TOPIXをなんと50%以上もアウトパフォームして(上回って)います。このTOPIXインデックス、つまり日本の株式市場全体とのリターン格差はなかなかすごいですね。最初に日本の格差問題について話しましたが、こっちの格差は(藤野さん的には)大歓迎ですね。
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藤野 ありがとうございます。
藤沢 簡単に藤野さんの投資戦略を教えてもらえますか?
藤野 中小型株の徹底的な企業分析ですね。私は相場に賭けるという考え方はしていません。あくまで私が賭けるのは会社の業績です。チャートを分析することはしないわけではないのですが、重視するのはファンダメンタルズ分析です。
藤沢 多くのアナリストがカバーしている大型株よりも、時価総額がまだ小さい中小型株の方がミスプライスが放置されている可能性が高いでしょうね。そういった企業から、成長性のある銘柄を見つけ出していくんですか?
藤野 その通りです。それに、私は日経平均に入っているような日本の伝統的な大企業の成長性は疑問視しています。もちろん、それぞれの会社によりますけど、劣化や腐敗が進んでいる大企業が多い。例えば、拙著『日経平均を捨ててこの日本株を買いなさい。』にも書きましたが、この10年の間で、3600社近くもある日本の上場企業の株価を調べると、なんと6割近くが実は値上がりしているんです。数の上ではほとんどの企業は時価総額が3000億円もない中小型株です。配当もありますから、日経新聞の株式欄にダーツを投げて投資する銘柄を適当に選んでいても、儲かる確率のほうがかなり高かった。