諸外国の輸入食品中の放射性セシウムの暫定規制値(ベクレル/kg(★注⑤)

アメリカ        (全食品)   370      
EU        (乳幼児食品)   370      
 (一般食品)   600      
スウェーデン       (全食品)  1000      
中国      (ミルク・飲料)   460      
 (果物・野菜)  1000      
ブラジル       (粉ミルク)   370      
(その他食品)   600      
タイ  (粉ミルク・乳児食品)    21      
 (ミルク)    7      
 (穀類その他)    6      


 各国で大きな差がある。日本からの輸入食品は各国で厳しく制限されている。日本の国内産食品新基準値は50と100ベクレルだから、じつはタイ以外では日本の規制値のほうが厳しい。ただし全量検査しているわけではないので、事故当事国の日本からの輸入を全体として制限するわけだ。

 タイがなぜ極端に厳しいかというと、やはりチェルノブイリ原発事故の影響である。事故から7ヵ月後の1986年11月21日、タイで欧州からの輸入粉ミルク(90トン)からセシウムが1キログラム当たり66.01ベクレル検出され、タイ政府は販売を禁止した。遠いウクライナの原発事故の影響が現れたわけだから、大きな衝撃を受けたのである。

 政策は国家の思想の反映だ。したがって放射性物質による食品汚染のリスク管理も各国で基準が異なる。日本は4月1日より、明確に年間1mSvを基礎にして空間照射線量も食品汚染も規制政策が一致した。輸入食品の規制値より厳しく、ほとんどの国の輸入食品規制値よりはるかに厳しいのである。

 課題は、検査体制の信頼性、そして報道機関が忘れずに長期にわたって市民へ伝えることである。

 情報はすべて厚生労働省のホームページで公開されているので、市民は独力で情報を得ることも可能だ。4月20日の報告を見ると、魚類や山菜9検体、21日にはシイタケ5検体から基準値以上のセシウムを検出している。


★注①厚労省ホームページより

★注②今中哲二「チェルノブイリ事故による死者の数」(「原子力資料情報室通信」第386号所収、2006、を著者がウエブで改訂し、公開している)

★注③「原子力百科事典ATOMICA」による。(財)高度情報科学技術研究機構が運営しているウエブ事典で、世界の研究機関の成果なども紹介している。

★注④1988年以降は一般公衆の年間線量限度は5mSvから1mSvへ下がったが、食品の370ベクレル基準には影響しないとされ、現在もそのまま生きている。

★注⑤「原子力百科事典ATOMICA」(前掲)