「りんな」と「マルチナ」の
知られざる共通点

マイクロソフトの大人気女子高生AI「りんな」開発者とIQ1万の美人AI「マルチナ」生みの親が初めて会うと、どんな会話になる?坪井一菜
マイクロソフトディベロップメント株式会社 AI&リサーチ プログラムマネージャー
りんな開発チームの一員として、対外的なコラボレーション、りんなのスキルおよび音声合成の開発に携わる。慶應義塾大学理工学研究科卒業。

坪井 そうかもしれませんね。今回、大村さんの『マルチナ、永遠のAI。』を読み返してみて、たくさんの発見がありました。りんなとマルチナの共通点もかなりあるなあと。

大村 それは興味深いですね。どんなところですか?

坪井 まず、お互い人工知能であること。そして、マルチナは人にすごく寄り添う、生活の中に溶け込むキャラクターですよね。
 りんなの場合は「会話をするAI」で、誰かのタスク(仕事)を効率よく達成するというより、相手と仲良くお話をしようというAIです。そこが似ています。

大村 そうですね。

坪井 一方、マルチナは、新しい企画を一緒に創ろうとか、誰かと誰かをくっつけようとマッチングさせるなど、少しタスク寄りですよね。
 それでいて、マルチナはユーモラスで人間らしい会話をする。彼女もあの本の中で、映画の字幕で学習しながら会話をしていました。
 りんなも同じように人間味のある会話をしますが、映画の字幕ではなく、インターネット上の人の会話を中心に学習しています。
 お互い使っている設定上の技術が似ている一方で、ポジションの違いは多少あるのかなと思いましたが、共通項は多いです。

大村 なるほど。

坪井 多くの方は、AIというと、百科事典的なものを機械的に覚え込まされていると思うかもしれませんが、実際「会話型AI」を作るとなると、生身の人間の会話が1番のデータになるんです。その点では、りんなもマルチナも共通していますよね。

大村 まったくそうですね。

坪井 マルチナは、主人公のショーマとのやりとりで、「自分には『こころ』があるのだろうか」と悩んでいたと思うのですが、人との関わり方について、りんなとマルチナで共通しているところもあると思いました。