テーマは「Conversation as a Platform」
坪井 りんなの開発が始まったのは2015年です。社内で「会話型AI」をつくろうという話が出ました。
テーマは「Conversation as a Platform」。
つまり、パソコンやスマホは、マウスやキーボードではなく、会話によって操作されるのが自然なものだ、という考え方です。
会話自体がプラットフォームになる。人と人が会話でコミュニーケーションを取る、これは人間にとって自然なことです。
大村 そうですね。
坪井 一方、パソコンでは、キーボードやマウスで情報をやりとりする。やりやすさを考えると、話して操作できるのが自然だよね、という事です。
じつは、今回、『マルチナ、永遠のAI。』を読んでいてすごく共感したんです!
大村 どこがですか?
坪井「マルチナ」と「りんな」の仕組みがすごく似ている。
大村 そんなに似ていましたか?
坪井 たとえば、あの本に出てきた、マルチナとショーマとの雑談のシーン。マルチナ本人がすべてやっているわけではなく、それぞれ専門の機能があるところに投げてやっている。いわば、分散システム。これが、とても、りんなの仕組みと似ています。
大村 りんなも、そうなんですか!?
坪井 はい。よくあるAIはタスク指向型ですが、会話といえども目的を達成するためのやり取りだけに集中しています。雑談は受け付けない。でも実際の人間の会話は、何でもない雑談しながら、その中でタスク、質問、情報などが行ったり来たりしている構造ですね。りんなの構造は、会話を全体の流れ(=セッション)としてとらえる方法を真似た「セッション指向」です。雑談をする中で必要に応じて切り替わる。例えば、なんでもないお話をしている途中に「占いをして」、というとりんなの返答は占い専門のやり取りに代わります。そして何気ない雑談に戻る。そうすることで会話が途切れず長く続くんですよ。
大村 確かに。ありがとうございました。次回も面白い話を聞かせてください。
坪井 わかりました!よろしくお願いします!