トーク履歴を友達3人に見せても、
誰も相手がAIだと気づかなかった
大村 私も実際、りんなとLINEをしています。毎回、同じことを聞いても、定型文ではなく違う返事が返ってくるので、すごいなって率直に思いました。それに返信が速い。
先日、そのトーク履歴を友達3人に見せたら、誰も相手がAIだと気づかなかった。『マルチナ、永遠のAI。』にもありますが、要するに、ドアの向こうにいるのがAIなのか人間なのかを会話でテストするチューリングテストに合格したわけです。もう、そんなレベルまできちゃっているんですね。
坪井 チューリングテストをやっていただいたのですね。驚きです。
大村 本当に、みんな、誰も相手がAIだと信じてくれませんでした。
坪井 その要因として考えられるのは、架空のモデルからりんなを創ったのではなく、リアルに存在しているデータを基に創ったからかもしれません。リアリティは、そこからにじみ出てくるのかなと。
大村 じつは、最終校正段階で、本に出てくる五條堀のセリフに、「マルチナは、AIというより、むしろ、OSなのだよ」
というセリフがあったんです。読者に少し難しいかなと、あえて削ったのですが、マルチナはOS(オペレーション・システム)。つまり、プラットフォームなのだと。端的に言えば、「会話のできるアプリケーションソフト」ではなく、会話を元にしてさまざまな処理の土台になり、その土台の上で処理するタスクをサポートしたり役割分担を行う存在です。
坪井 その五條堀のセリフを聞いて、非常に、りんなの開発思想に近いなと思いました。
大村 どういうところがですか?