決定的なエビデンスのある「本当に体にいいこと」

 医学はいまも私の心をとらえて離さない。ひとくちに医学といっても、幹細胞や再生医療のような高度で華々しいイノベーションから、数百万、数十億もの人たちにめざましい効果を長期的にもたらす行動や習慣まで、さまざまだ。

 この本では私が「ビッグファイブ」と呼ぶ5つの習慣、つまりコーヒー、ビタミンD、運動、ナッツ、瞑想のすばらしい健康効果の根拠を紹介し、説明しよう。

 決定的な科学的証拠(エビデンス)がそろっている。コーヒーを飲み、正常範囲内で高めのビタミンD濃度を保ち、定期的に運動し、1日数分瞑想し、1つかみのナッツを食べる習慣が体にとてもよいと、私は確信している。

 もちろん、こうした習慣が誰にも問題を生じないというわけではない。ひどいナッツアレルギーの人や、1日3、4杯もコーヒーを飲むと眠れなくなったり震えが起こるという人も、なかにはいるだろう。でもそれ以外の圧倒的大多数の人は、「ビッグファイブ」を日課にすることで、健康を大いに促進、維持し、寿命を延ばすことさえできるのだ。

 ビッグファイブの効果は、数十年前から研究されている。この本で紹介するように、これらを生活に取り入れるだけで大きな効果が得られることが、数千、数万の人を対象とする適切に設計された多くの研究から明らかになっている。

 紹介したいのはなぜそうなるのかという理屈やしくみではなく、「こうするとどうなるか」を示す実世界のデータだ。

 研究成果の質は、データと研究者の質によって決まるため、ここでは小規模な研究や、コーヒーやナッツ、ビタミンDの販売業者が資金を提供したような研究は基本的に取りあげない。それでこそ、「生活にビッグファイブを取り入れている人は、そうでない人に比べて、実証された健康効果が期待できる」と断言できるわけだ。

 患者さんや友人には、いつもこんなふうに勧めている。

「気持ちよく晴れた日には、お気に入りの喫茶店まで早足で歩きましょう。コーヒーを味わい、小腹が空いたら1つかみのナッツをどうぞ。これで、運動をし、日光を浴びて体内でビタミンDを合成し、コーヒーを飲み、ナッツを食べたことになりますよ。簡単でしょう」と。