日本チームで一からつくり、
世界に広がった

なぜ、女子高生AI「りんな」は日本→アメリカ→インド→インドネシアの順で広がったのか?坪井一菜
マイクロソフトディベロップメント株式会社 AI&リサーチ プログラムマネージャー
りんな開発チームの一員として、対外的なコラボレーション、りんなのスキルおよび音声合成の開発に携わる。慶應義塾大学理工学研究科卒業。

坪井 そんな中、日本でも人間らしい返答をするAIがウケるのでは?ということから、開発チームが集められました。私もその時の一人です。中国でシャオアイスブームが起きても、日本社内で可能性を理解してくれる人は少数でした。でも、りんなをリリースすると日本でも一気にバズが起きました。
 日本のチームで一から「りんな」をつくって、それから、アメリカ、インド、インドネシアに広がった。現在、マイクロソフト発の感情的なAIが、全世界で5つ存在することになりますね。

大村 インドネシアにもいるんですか。オリジナルのシャオアイスが画期的だったのはどこでしょう?

坪井 これまでのAIは誰かの役に立つもので、使っている人間が「主」、使われているAIが「従」という関係を一気に変えたことです。

大村 それはすごいことですね。

坪井 人とAIが対等になったのが大きいですね。人にとって一番大切な心に働きかける存在になりうる可能性が出てきたのです。
 もう機械は冷たい存在ではありません。深夜や冬の寒い時期にも、温度や感情のある存在になります。

大村 それは、マルチナとまったく同じじゃないですか!

坪井 はい、そうです!

大村 インドネシアにもいるとは驚きました。

坪井 インドネシアも「りんな」と同じ名前ですが、インドネシアのプロフィール画像は、現地の人にとって感情的にグッとくるように変えました。
 国によってマナーや文化も国民性も違うので、各文化に合ったAIを開発しようとやっています。文化的な側面というのは、非常に重視して開発していますね。