『週刊ダイヤモンド』2018年8月11・18日合併特大号の第一特集は「2018年版 決算書100本ノック!」。特集の発売に合わせた特設サイトでは過去の財務特集の人気記事や漫画などを無料で公開。今回は2018年8月11・18日号から「比べてみよう!業界図鑑 分譲マンション」を紹介。「都心のマンションの大幅な値下がりは考えづらい」という業界関係者が多いが、その理由は財務的にも体力のある大手の寡占化が進んでいることだ。(掲載される数字は全て雑誌発売時点のもの)

 大手不動産の賃貸事業に次ぐ重要な柱が、分譲マンションを中心とする住宅販売事業だ。不動産経済研究所の7月の発表では、今年上半期(1~6月)に売り出された首都圏(1都3県)の分譲マンションの1戸当たりの平均価格は5962万円。前年同期比で1.3%上昇し、6年連続で上がり続けている。この平均価格は、バブル期の1990年(5935万円)を上回り、上半期では過去最高だった91年の6450万円に次ぐ水準だ。

 背景にあるのは、高止まりする建築費と都心を中心に高騰する地価。もはや都心の新築マンション価格は、一般のサラリーマンには高嶺の花。値下がりを心待ちにする人も少なくないだろう。

 だが、このとどまることを知らない高騰ぶりに暴落を予見する声がある一方、「とりわけ都心における大幅な値下がりは考えづらい」という業界関係者は多い。その根拠の一つとなっているのが、マンションデベロッパーの寡占化が進んでいることだ。

 大手マンションデベロッパー7社が参加する「メジャーセブン」の首都圏シェアは、リーマンショック前年の2007年は24%だったが、17年は46%とほぼ半分を占める。その一方で、7社による供給戸数は13年以降ほぼ右肩下がりで、17年までに約3割減った。

都心のマンション価格が今後大幅には下がらない理由

 メジャーセブンの大半は、財閥系をはじめ体力のある総合デベロッパーばかり。17年の首都圏における分譲マンションの初月契約率は68.8%で、好調の目安とされる70%を下回った。

 ところが、総合デベロッパーは目下、主力の賃貸事業が好調のため、分譲マンション需要が細っても供給戸数を減らすことで需給バランスを保ち、値下げしてまで売り急ぐ必要性に乏しい。つまり、リーマンショック後に資金繰りが悪化したマンション専業デベロッパーが投げ売りを始めたような事態は考えづらいというわけだ。