ドイツ介護保険の財源は保険料のみ
「部分保険」によって総費用を抑制

 ドイツの介護保険が日本と異なるのは、まず、利用者に年齢制限がないこと。医療保険と同じように国民すべてが保険料を払いサービスを受ける。労働者と経営者が折半の保険料だけが財源で、税の投入も利用者の自己負担もない。

 保険制度の原則が貫かれており、さすがビスマルク以来の「社会保険の母国」だけのことはある。財源の半分に税が投入され、1割の利用料負担で始まった日本とは異なる。

 そして、保険者は基礎自治体ではなく、「介護金庫」である。医療保険を運営する「疾病金庫」がそのまま2枚看板を掲げて運営している。

 独立の公法人で日本の健康保険組合と似た組織だ。企業や同業者、地域などの単位で成り立ち、かつては全国で4ケタもあったが統合が進み、今では108に集約されている。最大手のAOK(一般地域疾病金庫)は、全16州に置かれ介護保険被保険者の半数近くが加入している。

 介護保険法は1970年代から連邦議会で議論され「負担増になる企業側はずっと反対してきた。労働者側との妥協の結果が部分保険という決着になった」(フランクフルトの施設長)。

「部分保険」とは聞きなれない用語だが、要は介護保険だけでは十分でないと言うこと。例えば要介護5の人が施設に入居する際、1ヵ月の利用料が全国平均の40万3000円(3100ユーロ)とすると、介護保険では要介護5の場合で約26万円(2005ユーロ)しか給付されない。残りの約14万円は自己負担となり、年金や預金で補う。保険で賄うのは「部分」というわけだ。(図4)

 施設によって利用料はバラバラだから、自己負担額も異なる。地域差もある。南西部は高額で、旧東独地域は安い。職員の人件費や物価の格差による。

 年金と預金が足りなければ、州自治体から「介護扶助」(生活保護に近い制度)を受給できる。従って、自己負担分が約14万円の場合に、年金や預金などで12万円分しか払えなければ、残りの約2万円を介護扶助で補うことができる。

 日本では特別養護老人ホームの利用料は全国一律で、入居する際に要介護度に応じて利用料の1割だけ払えばいい。介護付き有料老人ホームでは、事業者に費用の一部が介護保険から「特定施設入居者生活介護」として給付が得られ、かつ、施設によって利用料がバラバラという点で、この「部分保険」と同様な仕組みと考えてよいだろう。

 給付額を日本の制度と比べると、施設への給付費が要介護4と5で4~5万円低く、その上利用料が高いので、利用者の負担は大きい。在宅サービスでは日独の差はさらに広がっている。総費用を抑える狙いからだ。(図3参照)