【図】年齢階級別に見た女性就業率

 社会保障制度で女性が絡むのは、主に「働き方」の部分です。医療、年金で採用されている「社会保険方式」では収入を持たなかったり、持ったとしても一定額よりも低かったりする勤め人の奥さんの場合、保険料の負担が発生しません。そこで、パートタイムなどで働いている場合、保険料の負担が発生しないように収入を抑制する、つまり扶養の範囲内で収入や就業時間を調整する「106万円の壁」あるいは「130万円の壁」が指摘されています。

 これはもともと、社会保険方式が「男性の正規雇用」を前提としたシステムだからこそ起きる現象です。福祉国家の研究者によると、社会保険方式を採用する国では「暗黙のうちに一家の稼ぎ手である男性が有利になる」(エスピン=アンデルセン『ポスト工業経済の社会的基礎』)傾向があるため、その結果として女性を排除しやすい欠点を持っているのです。こうした実態を考える素材として、まず1939年製作の映画『東京の女性』を取り上げます。

男性に交じって車の販売
最後は失恋でも吹っ切れた表情

『東京の女性』は、戦前の東京を舞台にした映画。主人公の君塚節子(原節子)は車の販売会社でタイプライターとして勤務しています。父親は事業に失敗して無職なので、わずかな節子の収入で生計を立てていました。妹の水代(江波和子)も節子と同じ会社で勤めるようになりますが、生活に苦労していました。

 そんな中、知人から「車を買いたい」という話がありました。これを課長に伝えると、課長は節子のことを見下しており、本来は400円のマージンを最初は100円、苦情を言っても250円しか渡さなかったので、節子は情けない気持ちになります。しかも、これは節子の給料の数ヵ月分に相当します。

 折しも父親がケガで入院、医療費が必要になります。そこで、節子はセールスレディーに転向するため、同じ会社の敏腕セールスマンの木幡好之(立松晃)に指南を仰ぎます。木幡は節子に好意を抱いており、節子の方針に賛成ではありませんでしたが、節子は木幡の支援を受けたり、工場で油まみれになって自動車の構造を学んだりしつつ、何とかセールスレディーになります。