スポーツの赤字は
文化予算削減で穴埋め!?

 では、日本では2020年の五輪後にどんな「悲劇」が起きるのか。さすがにレガシーがいくら赤字を垂れ流そうとも、消火栓が使えなくなるようなことはないだろう。また、政治家は選挙があるので、医療、福祉、子育て支援などは手がつけにくい。一方で、「票田」にならない生活保護・貧困対策等は容赦なく削ることができるが、あまり露骨だと叩かれる。

 そうなると真っ先に削られる可能性が高いのは「文化振興」だ。スポーツ振興に金をつぎ込むのだから、似たようなところからぶんどってくる、というのは自然な発想だ。具体的には、「五輪不況」によって、自治体が管理していた有形・無形の文化財などの保護予算が一気に削られるのではないか。

 なんてことを言うと、「なあんだ、それくらい全然悲劇じゃないじゃん」と言う人がいるが、先ほどの博物館火災と一緒で、これは「日本人の歴史」を失うことと同じ意味だ。

 すでに日本各地で、こうした文化財がひっそり姿を消している。たとえばSL。明治期から昭和という日本の近代化を支えた蒸気機関車のことだが、これまでは全国の自治体が公立公園や市役所前などで保存に務めていた。皆さんも、子供の時にSLのある公園で遊んだことがあることだろう。

 しかし、近年はこのSLがスクラップにされている。展示SLを解体した福岡県行橋市の市教育文化課の担当者の方の言い分を紹介した記事を引用させていただこう。

《「活用の見込みがないので予算化できない」(市教委文化課)。見学者が少なく、「コストのわりに効果がない」という》(朝日新聞 2016年10月19日)

 まさしく「負のレガシー」となっているのだ。このような現状が、「五輪不況」でさらに加速していくというのは、容易に想像できよう。