例えば、国民平均の摂取量で考えると、白米を3割減らし、そのぶん大麦を混ぜた「麦ご飯」にするだけでも、1日約4gも食物繊維摂取量が増やせる。1日平均14.7gが約19gになり、麦ご飯だけで1日の4分の1相当の食物繊維量を補給できる計算になるのだ。

日本人の腸は
炭水化物を求めている!?

 もう一つ、記しておくべきことがある。

 日本人の腸はほかの国々の人たちより炭水化物を求めているらしい、ということだ。

 下の図は、早稲田大学の服部正平教授らが日本人106人の腸内細菌叢を解析し、アメリカ、フランス、ロシア、中国など他の11ヵ国の人々の平均的な腸内細菌データと比較したもの。

日本人の腸には炭水化物代謝遺伝子を持つ菌が多い
日本人の腸には炭水化物代謝遺伝子を持つ菌が多い

 腸内細菌をその遺伝子群の機能で分類すると、日本人の腸には炭水化物を分解する菌がほかの国民より多いことがわかった。一番多いのは「ブラウティア」という種類の菌だが、実はほかの11ヵ国の人々よりも日本人の腸にはよく知られた有用菌「ビフィズス菌」も多いという(*7)。この菌もオリゴ糖などの炭水化物をエサにする。これらの菌たちは炭水化物を代謝し、有用物質である短鎖脂肪酸などをつくるのだ。

*7 DNA Res. 2016 Apr;23(2):125‐33.

 このように、小腸で吸収されない難消化性の炭水化物は、有用菌のエサになり、私たちの心身を守ってくれている。

 いかに日本人の腸はその独自の食文化で細菌叢を培ってきたかがわかる。仮に、ほかの国民の腸には、糖質制限食(炭水化物制限食)があまりダメージを与えないとしても、炭水化物をエサにする菌が多い日本人の腸には、ダメージを与えることになる可能性が否定できない。

 また最近、米国で1万5400人以上を25年間追跡した研究で「摂取エネルギーの50~55%が炭水化物」という食事をしてきた人たちで死亡リスクが最も低くなり、これより低くても高くても死亡リスクが高まるという結果が出ている(*8)。

*8 Lancet Public Health. 2018 Sep;3(9):e419-e428.

 このようなデータから、現時点でおすすめしたい炭水化物との付き合い方をまとめると、次のようになる。

(1)砂糖入り清涼飲料など、吸収が早い糖類に気を付ける

(2)健康な人なら、穀物類(でんぷん食品)はいたずらに減らすのではなく、「精製された穀物」からできるだけ「未精製で食物繊維を多く含む穀物」へとチェンジする

 食物繊維を多く含む、茶色っぽい色の穀物に注目しよう!