とはいえ他業界でも、イギリスのダイソンは全固体電池の開発にある程度の自信を持っていそうだし、アメリカの新興自動車メーカーであるテスラも研究開発競争で侮ることはできない競合である。さらに言えば中国勢、どこから日本勢を追い抜いてくるかまったくわからない。つまり、安心はまったくできない状況だ。

 それに加えて、自動運転のコア部品である人工知能と、コネクテッドカーを支配する情報システムに関して言えば、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)やマイクロソフト、ウーバーといったアメリカのIT大手の方が、はるかに先んじたポジションにいる。

パソコンと同じビジネスに?
自動車に迫る時代の大転換点

 結局のところ、人工知能と電池がコア部品となる時代には、自動車はパソコンと同じ製品になり下がるリスクがあるということだ。

 パソコンがインテルのCPUとマイクロソフトのOSを購入すれば誰でも製造できる商品となったのと同じで、グーグルの人工知能とダイソンの電池を購入すれば、ヤマハでもブリヂストンでも、果てはドン・キホーテでも、自動運転の電気自動車を製造販売できる時代になるかもしれないのだ。

 だから、そのような危惧を前提に、これまで自動車各社はアメリカのIT大手との本格提携、ないしは本格依存には慎重な姿勢を崩すことができなかった。その文脈で言えば、今回のルノー・日産・三菱連合のグーグルとの提携発表は、自動車各社の未来に対するスタンスについて、大きな転機をもたらす出来事である。

 冷静に考えれば、人工知能はこれから先の未来において、自動車産業ではなくIT産業の専売製品になる可能性の方がはるかに高い。いつまでも意思決定を後回しにしているのではなく、早めにIT企業との具体的提携に踏み切ったほうが、自動車各社が未来についてのイニシアティブを維持できる可能性が高いかもしれない。

 その第一歩を、9月18日にルノー・日産・三菱連合が踏み出したのである。これに世界の大手自動車メーカーがどう反応するのか、まさに時代の転換点が訪れたのである。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)