日々膨大な仕事をこなす一流のクリエイターは、どのように仕事を進めているのでしょうか?

くまモン、相鉄、Oisixなど、多くのプロジェクトを手がけるクリエイティブディレクター・水野学氏。水野氏が大切にする仕事の基本は、意外にも「段取り」とのこと。仕事を効率的かつ高いクオリティでやり遂げるためには、「段取り」が欠かせないといいます。今回は「段取り」のやり方のひとつ、「ルーティン化」についてお伝えします。

これからの仕事の基本である、「段取り」の秘密を全公開したのが『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)。この連載では本書から一部を抜粋・再編集し特別公開します。<構成:須崎千春(WORDS)、編集部>

日々の動きを「ルーティン化」すると、<br />仕事はどんどん進む仕事を効率的かつ高いクオリティでやり遂げるために、「ルーティン化」する

「段取り」とは
「ルーティン化」!?

 あらゆる関係者とコミュニケーションをとりながら、多くの仕事を同時進行で、確実に、高い質を保ちながら、ストレスなく進めていく。そのためには「段取り」が大切であることを、第1回で書きました(興味のある方は、ぜひお読みいただければうれしいです)。

 では具体的にどうやって「段取り」するのでしょうか。今回は「ルーティン化する」というテーマでお伝えしたいと思います。

 異なるプロジェクトであっても、ベースはほぼ同じ。プロジェクトが違っても、仕事の骨格、本質はすべて同じだと考えています。

 仕事において大切な本質ですから、あたりまえですが、抜けやモレがあってはいけません。
 それゆえ、「どの仕事にも生じる大切なこと」を「ルーティン化」するのです。

 あらゆることを「ルーティン」にしていれば、毎日が平穏に進みます。目の前のやるべきことを淡々とこなしていくだけだから、仕事もどんどん進みます。

「そんなやっつけ仕事のように進めているのか?」という声も聞こえてきそうですが、違います。
 クリエイティブな仕事なのだから、ルーティンでやるのはそぐわないのではないか、という意見もあるでしょう。ぼくは逆だと思っています。

 クリエイティブな仕事だからこそ、ルーティンを増やすべきなのです。
 ルーティンを増やすと基本的なこと、あらゆる仕事に共通する基礎の部分をスムーズに行なうことができます。

 もっといえば意識せずに自然とこなすことができるようになる。仕事のクオリティのベースが上がります。全体のレベルがグンと上がるのです。すると、さらに上を目指すことができるようになります。質を上げたり、工夫をしたりする余裕が生まれるのです。

 段取りによって仕事をルーティン化し、ベースをきちんとしておくことで、「よりいいもの」「よりおもしろいアイデア」が生まれるのです。

 逆に段取りをしていなければ、毎回が「新しいこと」なので、現場は混乱します。頭の中も整理されていないし、正解が何かもわからないので、仕事は出たとこ勝負。それこそ「やっつけ」になってしまいます。