中央からの「バラマキ」に代わる
沖縄の自治権拡大策を打ち出すべきだった

 沖縄県知事選の争点は、基地問題だけではない。経済も重要な争点だ。自民党からは、相変わらずの政府主導の地域振興策が並べられた。これに対して野党が「バラマキ」だと批判するのは、いつもの構図だ。だが、バラマキだと批判するだけで、なんの明確な対案もなかったことも、いつもの「なんでも反対」の野党だった。

 沖縄の経済にも、基地問題同様に、県知事だけではなく、国が動かないと解決できない構造的な問題がある。それは、都道府県の中で、沖縄県にだけ適用される法律・制度がたくさんあるということだ。「内閣府沖縄担当部局(旧沖縄開発庁)」「沖縄振興特別措置法」「沖縄振興計画」「沖縄振興開発金融公庫」「金融特区」「特別自由貿易地域」「北部振興事業」などである。要するに、沖縄県には他県並みの自治は認められず、日本政府の決定の押し付けが続いてきたということだ(第124回)。

 野党は、法律・制度に基づいて政府主導のバラマキが行われてきた「中央による沖縄支配の構図」への対案を出すべきなのだ。沖縄に最低他県と同じレベルか、できれば他県以上の自治権を付与すべきということだ。

 この連載では、沖縄がかつて「琉球王国」という独立国であった歴史に鑑みて、英国におけるスコットランド州並みに自治権が認められるべきだと論じた(第124回・P.3)。英国では、スコットランドなどの民族的、文化的、歴史的な独自性を尊重し、広範な自治権が認められている。1999年には、スコットランド議会が設立された。そして、北海油田の収入をベースとする、スコットランド独自の福祉・社会保障政策が充実しているのだ。

 これは、日本が「単一民族」であるという幻想にこだわる「保守」である自民党にはできないことだ(第144回)。だが、その結果は、世界的にみれば、ほとんど「植民地行政」としかいえないような中央集権による沖縄支配が続き、沖縄の人々の「被差別意識」が高まっている。

 むしろ、野党は日本の多様性に目を向けるべきだ。沖縄独自の歴史、文化、言語を尊重し、より広範な自治権を認める政策を打ち出すべきではないか。このように書くと、「沖縄が独立する」「中国と接近する」と非難されるが、全く逆である。中央からのバラマキでは決してなくならない「被差別意識」は、沖縄の存在を認め、自由をもたらすことでこそ解消していく。自治権拡大は、むしろ沖縄の日本への帰属意識を高めると考える。