ところが、企業の会議に参加した時も苦痛だったので、やはり私は会議というのが苦手なようだ。

 そうした私の話はさておき、会議でみんなで話し合って決めるというやり方には、どうも問題がありそうだということが、心理学の実験によって明らかになっている。

 企業の会議では、ある提案が通るかどうかでその後の売り上げや収益が大きく左右される可能性があるため、誰もが真剣に考えて意見を述べる。それによって、個人で検討するよりも妥当な結論を出し、決議が行われている。誰もがそう思っているはずだ。

 ところが、それは大きな勘違いだ。みんなで話し合って決めることには、実は意外な危うさが伴うことが少なからずある。

 なぜなら議論が思いがけない方向に進んでしまい、話し合いに参加していた各メンバーが会議後に振り返って、「あんな結論になってしまったけど、本当に大丈夫なのだろうか」と心配になるほど、リスキーな選択をしてしまうからだ。

 皆さんの職場でも、そんな経験はないだろうか。もしそんな経験をしているのであれば、そこにはある心理法則が働いている。

みんなで話し合うと
リスキーな結論に至りやすい?

 各自が1人で考えると当然否決すべきと思われるような提案が、みんなで話し合っているうちになぜか通ってしまう。このような現象のことを心理学ではリスキー・シフトという。

 米国の心理学者・ワラックたちは、(1)魅力的だがリスクのある選択肢と、(2)リスクはないがあまり魅力的でない選択肢を用意、(1)(2)のどちらを選択するかについて、(a)個別に判断させる場合と(b)集団で話し合って判断させる場合とで、それぞれ比較するという心理実験を行った。

 そこでは、以下のような問いが12問用意されている。ここでは代表的なものを紹介する。

ケース1:雇用の問題
(1)高給とは言えないがそれなりの給料がもらえ、雇用が保証されている今の職にとどまるか、(2)雇用の保証はないがかなりの高給が見込める仕事に転職するか、どちらを選ぶか。

ケース2:命にかかわる難しい手術の問題
(1)失敗すると命にかかわる難しい手術をして、成功すれば自由な生活が手に入る場合と、(2)手術をしなければ命の危険はないものの、この先ずっと不自由な生活を強いられるという場合、手術の成功確率がどのくらいであれば(1)の手術を選ぶか。

ケース3:ビジネスで海外に進出する問題
(1)発展途上国に進出すれば利益の伸びが期待できるものの、内乱などのリスクがある、(2)国内にとどまればリスクはないが、利益の伸びはあまり期待できない、といった状況でどちらを選ぶか。