最近では、職場でのうつ問題も増えてきている。実際、一度治っても半分の人が再発し、うつを背負いながら働いているという。しかし、一見分かりづらいのが躁状態であるケースだ。軽い躁の場合だと、バイタリティにあふれている人、テンションが高い印象で、本人も上司も医者でさえ発見するのが難しいのである。

 躁状態の部下はエネルギッシュで「優秀な人」と評価されがちだが、気をつけてほしいのは、そのバイタリティが軽躁に由来するもの、つまり病気の可能性があることだ。そのため、その部下のペースに合わせたら、普通の人たちは疲弊してしまう。さらに、その部下自身もそのまま無理を重ねたら、いつ「うつ」に転じるかわからない。そのようなことが今、職場では当たり前のように起こっている。まずは、こうした現実を知ることが、今の上司には求められているのである。

 だからといって、必ずしもメンタルヘルスケアやキャリアデザイン、モチベーションといった専門知識を学べというわけではない。メンタルヘルスの深刻化を防ぐのは、たった1秒の思いやりである。たとえば、仕事中に辛そうな表情を見せた部下をスルーせず、「どうだ?」と一言、声をかけてみる。そのたった1秒の思いやりがあれば部下は安心し、胸中を打ち明けやすくなるだろう。

 メンタル不調のサインは職場の至るところに潜んでいる。しかし、そのサインは普段から部下のことを観察し、その気持ちを思いやる習慣のある人にしか発見できないものである。「たった1秒」でいいので、今日から部下の様子を気にかけてみてはいかがだろうか。

 今も昔も、上司の役割はしっかり業績を上げること。そのためには、最短最速で部下を成長させ、モチベーションをアップしてもらう必要があるのだ。メンタルヘルスもハラスメント対策もその一環として、できる限りのマネジメントをしていくことが、これからの時代に求められている上司像なのである。

 次回は、部下のやる気を引き出すコミュニケーションやモチベーション・アップの方法を具体的な例を交えて解説していきたい。