メガファーマ(巨大製薬会社)であるスイス・ロシュ傘下入りして17年目の製薬大手、中外製薬。独特のビジネスモデルで業績はうなぎ上り。ついに国内業界で時価総額1位となったが死角はないのか。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)
武田薬品工業がアイルランドのシャイアーを約6.8兆円で買収してメガファーマ(巨大製薬会社)入りする意向を示してから1カ月後。6月に開催された中外製薬の新製品説明会には、武田薬品の買収会見に見劣りしないくらいの大勢の記者やアナリストが詰め掛けた。
新製品は中外の血友病治療薬「ヘムライブラ」(一般名エミシズマブ)。投与回数を既存薬より大幅に減らせることなどから、ブロックバスター(年間売上高1000億円以上)入りが確実視されている。記者らの関心は、それが武田薬品・シャイアー連合の主力製品の世界シェアを奪えるのかどうかを見極めることにあった。
そうした競合事情を差し引いても、武田薬品とは別のスイス・ロシュとの提携というアプローチで既にメガファーマ入りを果たしている“先輩格”で、業績好調の中外に、今再び注目が集まっているのは間違いない(図1、2)。