しかし、日本では少子高齢化で若者の数が減少している上に、高学歴化、大企業志向の高まりによって非熟練の単純労働者が特に減少し、日本人だけでその穴を埋めることができなくなっている。そこで外国人労働者を受け入れるという話になるのだが、これまで日本政府は、単純労働者の受け入れを認めてこなかった。

 日本には既に127万人の外国人がおり、世界4位の受け入れ数だ。だが、専門的または技術的分野の外国人労働者のみ受け入れてきた。日本国内において実際に就労ができる資格は13種類(教授、芸術、宗教、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、技術・人文知識、企業内転勤、興業、教育、技能)のみで、非熟練の単純労働者は含まれていない。

 そのため、政府は「外国人技能実習制度」という、一時的外国人労働者受け入れ制度を使ってきた。中国、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどアジア諸国から技能実習生として人材を受け入れる。1年間の研修の後、技能テスト合格を得て2年間技能実習生として勤務することができる。技能実習生を受け入れることができる主な業種は、農業、水産業、酪農、製造業、建設業などである。

 本制度の目的は、元々外国人労働者が研修で技能を習得して帰国し、その母国へ技能が移転されることを通じて、開発途上国の経済発展に貢献することだ。だから、外国人技能実習生は、労働ビザに該当しない「実習生ビザ」で来日している。しかし、現実的には、中小企業の労働力確保のために利用されてきた。近年は、前述の通り災害や五輪に向けて人材がより必要となり、2017年には外国人技能実習生の合計数は22万人を超えている。

外国人技能実習生に対する
人権侵害問題の闇

 だが、外国人技能実習生に対する人権侵害問題が、ほぼ毎年200件以上発覚し、処罰されているという。その主なものは、賃金未払いや暴力などである。よく知られた事件としては、2014年に、日本有数のレタス産地である長野県南佐久郡川上村でレタス栽培に従事していた中国人の農業技能実習生が、人権侵害を受けた事件がある。

 中国人技能実習生たちに対して、劣悪な環境の中で、労働基準法に違反した長時間の労働や暴言や暴力、不明瞭な賃金の差し引きや母国にある送り出し機関からの搾取や不必要な管理などが行われていた。技能実習生の申告により、事件として明るみに出たが、日本弁護士連合会が、管理団体である川上村農林業振興事業協同組合に対し、再発防止や被害回復等を求める勧告を行い、厚労相および、法務省に対し被害実態の調査や再発防止、技能実習制度の廃止を求める事態となった。