北京大学は舞台の後ろの表示も「日本首相安倍晋三閣下北京大学座談会」と、普通はありえない“閣下”を入れて、かなり気を使っていた北京大学は舞台の後ろの表示も「日本首相安倍晋三閣下北京大学座談会」と、“閣下”をちゃんと入れたり、その他いろいろ気を使っていた。学生は昔よりおとなしい印象  Photo by Hikari Tanizaki

安倍首相は日本の首脳としては約7年ぶりに中国に公式訪問した。そこで感じた日本と中国の報道の乖離への違和感、現地中国での状況について、リポートする。(中国在住作家 谷崎 光)

 こんにちは。北京在住18年目になる、作家の谷崎光です。

 10月25日から27日の安倍首相の訪中は無事に終わった。

 まずはそれをお祝いしたい。

 しかし北京の住人としては、日本のメディアの報道と、中国の報道との乖離に、かなりの違和感があるのである。

安倍首相が中国に来ているのに
習近平は広州にいた

 まず、安倍首相が北京に来た10月25日の木曜日。

 この日の午前中、習近平は広州の中国人民解放軍南部戦区(軍の管轄エリア。中国では5つに分けている)の司令部にいた。

 今回、安倍首相の訪中は最初23日から25日に設定されていた。それが中国からの申し出で、今回の25日から27日になった。

 日本の首相が北京に来ているというのに、テレビでは迷彩服姿の習近平の広州の軍での映像がガンガン流される。

 例えば、安倍氏訪中初日の夜の新聞聯播(日本のNHKの夜9時のニュースに当たる)では、トップニュースは、習近平の広州&その周辺の訪問である。

 世界最大のエアコンメーカー、格力の工場に行き有名な女性社長の董明珠と懇談したり、農村を訪問したり。