双11の盛況ぶりは
すさまじい
11月11日、中国のEC大手であるアリババ・グループが、今年も“独身の日”のショッピング・イベントを開催した。“独身の日”は、“双11”、“ダブル・イレブン(11・11)”とも呼ばれる。英語名は、“11.11 Global Shopping Festival”だ。独身の日1日でアリババは2135億元、(308億ドル、日本円換算で3.5兆円弱)を売り上げた。
双11の盛況ぶりはすさまじい。
まさに中国経済の勢いを感じる。今回の“独身の日”によって馬雲(ジャック・マー)氏が花道を飾った。来年9月、アリババの共同創業者であり同社の成長を実現したジャック・マー氏は会長を退任する予定だ。
同氏が退任を決意したのは、経営環境が安定しているうちに身を引いたほうがいいと考えたからだろう。まず、アリババの業績に関する不透明感は高まっている。成長は鈍化する可能性があるといってよい。米中の貿易戦争はその一因だ。
また、中国政府からの監視や腐敗撲滅への取り組み強化の影響も大きくなっている。中国政府はIT大手テンセントへの監視を強化している。それを受け、ジャック・マー氏は経営のリスクが高まる、あるいは自らへの風当たりが強くなる前に潔く身を引き、今後の展開を見守るほうがよいと判断したのだろう。有名女優の范冰冰(ファン・ビンビン)が当局からの捜査を受けていたことをみると、監視の目は明らかに強化されている。
これまで、中国IT業界には高い成長期待があった。アリババなどはSNSやEC、フィンテックの分野で高成長を実現してきた。マー氏の退任となると、これからも同じ展開が続くか否かは分からない。今後の動向を注目したい。