ハッキングに必要な知識や技術は正解・不正解が明確で定量的に評価しやすい。主催者側はIT事業に幅広く役立つ汎用的な知識や技能を問う課題を増やすなど、間口を広げる工夫を凝らしている。

 前回は初のコンテストにもかかわらず、早速“異才”が見いだされ、自動運転技術の開発など枢要なプロジェクトに抜てきされた。

腕試しで参加者が5倍に

 コンテストを主催した日立ソリューションズ・クリエイトの上野貴之・セキュリティスペシャリストは「有能な技術者が塩漬けになる損失は大きい。能力を公平に評価し、適材適所を実現するのにコンテストは有効だ」と話す。

 社内のハッキングコンテストの門戸を広く開放して事業に生かしているのが富士通だ。今年から参加者の選抜方式を早い者勝ちから、参加自由のオンライン予選方式にしたところ、参加者が5倍以上の529人に急増した。

 しかも、セキュリティー関連業務に従事する参加者は全体の1~2割にすぎず、他分野から腕試しで参加する社員が多かったという。佳山こうせつ・セキュリティマイスターは「発掘された技術者をセキュリティーの事業部に異動させるのではなく、その他の事業で活躍してもらうことが多い」と話す。

 コンテストで実力を見いだされた製造部門のある技術者はセンサーで集めた工場のデータをAIで解析し効率化に生かすプロジェクトを任され、社内で注目を浴びた。

 NECも今年同様のコンテストを開催。多様な部門から前年の2倍の1200人が参加した。

 技術者には経営者になることではなく、技術を究めることを目的とする人も多い。生粋の技術者の能力を引き出すこうしたコンテストの役割は今後一層高まりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)